東京サラリーマン生活に戻り、やや忙しくなってきました。
しばらくおさぼりしておりました書評です。
今週のチョイスは 「幸田 文 全集 第11巻」
図書館でかりてまいりました。
著者の幸田 文さんは昭和を代表するエッセイストである。
さまざまな新聞や雑誌にシリーズもののエッセイを掲載し、その多くが身近なことをつづったもの。
今でいうところの、「人気ブロガー」といったところかも知れない。
でもその感性の豊かさ、文章の瑞々しさ、表現の美しさ、どれも素晴らしい。
現在の芸能人をはじめとするブログの「軽ーい」文章と比較するのは失礼というものだろう。
幸田さんは言うまでもないが、文豪 幸田露伴の娘である。
早くに妻を亡くした幸田露伴は、男手ひとつ、「日本の習慣」や「美しい生活の仕方」を
文字どおり英才教育したのだそうだ。
けっして硬い文章ではない。
けっこうくだけた表現もおおいのである。
が、文章が美しい。選ぶ表現の一つ一つが流れるような美しさであり、
日本の四季折々の風景や色が浮かんでくるようなのである。
少し抜粋してご紹介。
~たしかに月初めにくらべると、月末はずっと春に近づいたとおもう。
明け方は牛乳屋がきまって坂の上からあがって来るが、
その牛乳壜の触れあう音はほどよくゆるんできた。
寒いとカチリカチリと聞こえ、このころは からんからん ちろんちろんと聞こえるようになった。
ん の字だけ余計に伸びたのである。
遠い汽車の笛なども ぷおうと曳くように聞こえる。
~柳はいま、やわらかさの限り。
色もやわらかいし、糸もやわらかいし、蛙でなくとも飛びついて
ちょいと引っ張ってみたい青である。
秋の夜長、「日本の美しさ」に触れた気がした一冊でありました・・・。
しばらくおさぼりしておりました書評です。
今週のチョイスは 「幸田 文 全集 第11巻」
図書館でかりてまいりました。
著者の幸田 文さんは昭和を代表するエッセイストである。
さまざまな新聞や雑誌にシリーズもののエッセイを掲載し、その多くが身近なことをつづったもの。
今でいうところの、「人気ブロガー」といったところかも知れない。
でもその感性の豊かさ、文章の瑞々しさ、表現の美しさ、どれも素晴らしい。
現在の芸能人をはじめとするブログの「軽ーい」文章と比較するのは失礼というものだろう。
幸田さんは言うまでもないが、文豪 幸田露伴の娘である。
早くに妻を亡くした幸田露伴は、男手ひとつ、「日本の習慣」や「美しい生活の仕方」を
文字どおり英才教育したのだそうだ。
けっして硬い文章ではない。
けっこうくだけた表現もおおいのである。
が、文章が美しい。選ぶ表現の一つ一つが流れるような美しさであり、
日本の四季折々の風景や色が浮かんでくるようなのである。
少し抜粋してご紹介。
~たしかに月初めにくらべると、月末はずっと春に近づいたとおもう。
明け方は牛乳屋がきまって坂の上からあがって来るが、
その牛乳壜の触れあう音はほどよくゆるんできた。
寒いとカチリカチリと聞こえ、このころは からんからん ちろんちろんと聞こえるようになった。
ん の字だけ余計に伸びたのである。
遠い汽車の笛なども ぷおうと曳くように聞こえる。
~柳はいま、やわらかさの限り。
色もやわらかいし、糸もやわらかいし、蛙でなくとも飛びついて
ちょいと引っ張ってみたい青である。
秋の夜長、「日本の美しさ」に触れた気がした一冊でありました・・・。