うちの芝生が一番青い

Tokyoに暮らす、ごくごく平凡で標準的な【ナイスサーティーズ】の奮闘記。

書評 ~ 駅までの道を教えて

2010年10月23日 | 書評
本日は書評です。

ここ最近は「文化の秋」ということで、小難しい哲学や経済は離れ
文学シリーズが続いております。

今週のチョイスは   「駅までの道を教えて」  伊集院 静 著





誰もが知ってる「売れっ子作家」伊集院氏の短編小説集です。
図書館で借りてきました。


野球をテーマとした短編が数編。

「少女と老人」 「母と少年」 「少年と少女」 それぞれの物語に
少しの「野球のエッセンス」を加えて紡いでいます。

私、伊集院氏の小説は初めて読んだのですが、全体に「女性的な」雰囲気が漂っていました。

なんといったらよいのか、表現や人物同士のやり取りがとても【スマート】です。
きっと作者は「美しいものが好きな人なのだろうな・・・」と感じられました。

そこで思ったことは、多少登場人物のリアリティさに欠けるかな・・・ ということ。
子供は友達に向かって【君】なんて呼んだりしないもの。

どこかの【有名私立の坊ちゃん】たちならいざ知らずですが・・・。


多少汚い地元の言葉を巧みに使いこなし、登場人物を3Dでうき上がらせるような
宮本輝さんが好きな私としては、少々物足りなさを感じてしまうのでした。


ただ、物語の運びや構成、背景を描く美しさは秀逸。
人気作家であるのは十分に理解できます。


またの機会に、全く違うテイストの作品も読んでみようと思います。