日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎望郷(未来探偵ロクロ その22 おしまい)

2024年05月12日 | ◎本日の想像話
 ミツオとエリーが取調室から解放されるたのは十時間後だった。
「あいかわらず、お前は面倒をおこす」
「相沢さん、いつもすみません」 
 何度も警察ざたになっているミツオには知り合いの警部がいた。相沢は定年間近の老警部、人生と人間の酸いも甘いも分かっている男だった。相沢ははげ上がった頭とせりだしたお腹の両方をなでながらミツオとエリーに話を続ける。
「今回の件は世間を騒がす、一大スキャンダルとなっている。表には大勢のマスコミがお待ちかねだ。分かっているだろうが、余計な事は言うな」
「須田はどうなりましたか」
 相沢は言うかどうか、一瞬の逡巡を経て口を開いた。
「お前達を宇宙に送り込むための偽装手配、天空のシステム乗っ取り、博士への脅迫、その他もろもろ罪に問われている。しかし、情状酌量の余地もあると我々はみている」
 相沢警部は裏口へと二人を誘った。「穏便に処理していただいてありがとうございました」
 ミツオが頭を下げる。
 相沢は二人を静かにおくりだした。 門の外には道明寺と佐々木が二人を待っていた。
「巻き込んで悪かったな。あの場で倒れているお前達を見たときは心臓が止まるかと思ったよ。完全に悪ふざけだったな」
「あれは佐々木が悪い」
 道明寺が佐々木をにらむ。
「脱出ポッドが近づく音がしたとたんバタリと倒れこんで、お前もやれって……」
「いや、おもしろいかなと思ってな、思いついた直後には、もう体が動いていた」
「ご家族の様子はどう?」
 エリーが道明寺に聞いた。
「取り調べを終えた博士は奥さんと娘さんのもとにすぐに帰ってきた。民間のスキャンダルであって、刑事事件ではないから良かったね」
 佐々木が思い出したように口を挟む。
「博士が言っていた。事後処理の後も地球にいようかと思うって。あんた達によろしく伝えてくれとも言われた」 
 誰が誘うでも無く、四人の足は道明寺のバーへと向かっている。


おしまい

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◎ねこ太くんは片思い

2024年05月12日 | ◎これまでの「OM君」
続きまして、ねこ太くん
そんな時にも、おにみみコーラ&スパイスクッキー 
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