◎タクシードライバー中島（１２）（約２００文字づつすすむストーリー）

　中島は、すぐ近くに公園があったことをおもいだして駆け出した。
　涙で前がよく見えないが、とにかく走った。
　洗い場を見つけて、がむしゃらに顔を洗う。
　ガスの種類は分からないが、洗い流した後の感触では深刻なダメージを負っていないように感じて、中島は少し安心しながら元来た道を引き返した。
　運転席が開け放たれたままの状態でタクシーは停車している。
　あの女が周囲にいないことを祈りながら車に近づくと、運転席に茶封筒が置かれているのを見つけて中島はぞっとした。
　いったいなんだっていうのだ。