◆山行旅行記録
*旅行期間:20150517-0708
*旅行日数:53日間(車中泊)
*走行距離:3,881km
*走行ルート:
白山~日本アルプス~八ヶ岳の山麓を巡り、中部山岳をぐるーり見渡す山行旅行コースを設定
〈S〉―兵庫県―京都府―福井県―石川県―富山県―岐阜県―長野県―新潟県―
群馬県―長野県―岐阜県―滋賀県―福井県―兵庫県―〈G〉
走行ルート:〈S〉-北陸(黄緑色)-中部(赤色)-北陸(黄緑色)-中部(水色)-黄色-〈G〉
〈2015北陸~中部山行 行程概要管理表〉
*山行日数計:38日間
*登頂ピーク数:▲50山
*山行距離数:292.0km
*山行歩数計:574,975歩
(県別内訳 : 県境の山は、登山口のある府県で整理している)
[北陸エリア:▲17山]
京都府:▲2山
福井県:▲2山
石川県:▲2山
富山県:▲6山
新潟県:▲5山
[中部エリア:▲33山]
岐阜県:▲11山
長野県:▲20山
群馬県:▲2山
◆山の印象
山行の想いが覚めないうちに、記憶のままを綴ってみました。
〈1〉展望の記憶
(北陸エリア)
▲大辻山(5/25富山県)
登った登山道は立派なブナに覆われ、山頂に着くまで周囲の状況が分からない。
山頂標識と同時に残雪の立山連峰周辺の山々が目に飛び込んでくる、まずその見せ方に驚く。
そして、全く日本離れしている残雪の山岳風景に目を見張るのである。
(北信エリア)
高ボッチ高原(6/7長野県)
北アルプスの峰列が見られる記念写真の定番場所で、若いときに何度も訪れている観光地である。
その他に、天候に恵まれれば素晴らしい山岳風景が見られる山として、北アルプスの西側には天蓋山や川上岳、東側には聖山、鉢伏山が挙げられる。
(中信エリア)
▲守屋山(6/5長野県)
鬼面山で出会った浜松の女性に薦められて行ってみた。
正に日本の真ん中で、北ア、中ア、南アを始めとする中部山岳をぐるーり見渡す全方位展望台である。
山頂周囲の木々が低いだけに、周囲の山々が高く見える演出が素晴らしい。
何でもここから32座の日本百名山が見られると言うのもうなづける感じである。
(南信エリア)
▲鬼面山(6/4長野県)
この時期にしては、雨上がりの爽やかな天候にも恵まれた山行の印象であった。
前面に伊那盆地の後ろに林立する中央アルプスの峰列が見え、反対側には高く競り出すような南アルプスの巨峰群が見渡せる手作りの展望櫓が造られている。
〈2〉花木の記憶
▲鈴ヶ岳~▲大日山(5/22石川県)
ブナ林の中を進む登山道が素晴らしく、たどり着いた山頂直ぐ奥の最高点からは、更に眺め良く残雪の白山と共に隣の大日山が立派である。
▲大日山の山頂からは、残雪の白山がでっかい。
この縦走ルートは、この時期カタクリロードと称されるほどに花々が咲き乱れる静かな花の山となっていた。
なお、この山も日野山で出会った地元の方の推薦の山であった。
▲平標山~▲仙ノ倉山(6/15新潟県)
予定していた志賀高原の岩菅山が未だ花少なく、草津白根山の噴火警戒情報で通行規制があったのでルートを変更し、過去に二度歩いたルートながら、初めて花の時期に行ってみた。
▲平標山の山頂手前からハクサンイチゲの群落が現れ、▲仙ノ倉山との鞍部で花園がピークに達する。
群落としては中規模ながら、ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、シナノキンバイ、ハクサンチドリなどの異なった花々の小群落が同じ場所に咲くのは珍しい様に思った。
ただ、当日の天候が変わりやすく三度目の今回も、展望が余り望めなかったのは残念だった。
▲霧ヶ峰(6/25長野県)
六月の旬の花と言えば、なんといっても「レンゲツツジ」であろう。
その代表的な地域として、中信エリアの霧ヶ峰が挙げられる。
黄緑色の穏やかな草原の中に「ハッ!」と目につく目映いばかりの朱色がなんとも鮮烈なのである。
この赤にコバイケイソウの白が重なると、一層艶やかに見えるのである。
▲銚子ヶ峰~▲一ノ峰(7/3岐阜県)
立派な石徹白の大杉を見送ってから、そう急登が続く訳ではないが、長い登山道を回り込むように山頂に向かって進む。
この辺りから足元に小さな花々が現れ、銚子ヶ岳山頂から一ノ峰への稜線で花のピークを迎える。
その稜線の先には、白山の前衛峰である別山の岩峰が立派である。
その他、福井県の▲銀杏峰、富山県の縄ヶ池周辺や群馬県の▲白砂山などが花の名山に挙げられる。
〈3〉樹木の記憶
▲鍋倉山(6/11長野県)
大きくたわんだブナ林が、ここの冬の豪雪を物語っている。
短い夏を謳歌するように小さな花々が咲き出していた。
そのなかで、堂々と立つ巨木ブナ「森太郎」の凛とした姿に感動する。
▲天水山(6/12新潟県)
ここは三度目ながら、新緑眩しいこの時期も素晴らしい。
名だたる豪雪のためか、北欧風の白っぽい地肌の若いブナ林が清々しい。
その中で立派な苔むすブナ巨木が一本、門番のようにたたずんでいる。
▲籾糠山(6/29岐阜県)
ここも雪深く、天生峠が白川郷側の災害工事で未だに未開通の中、何とか峠まで開通した岐阜県側から登れた。
立派なブナ林、カツラ、ダケカンバなどの樹木がとにかく大きい、原始的な「巨木の森」を形成している。
その中にも湿原があり、小さな花々が咲き出していた。
そして狭い山頂では、立山から続く北アルプスが雲上に現れてくれた。20分間の「至福の時」であった。
とにかく、見処の多い山であった。ぜひ秋の紅葉時期にも再訪してみたいものである。
〈4〉出会いの記憶
(男性)
▲高落陽山(5/23富山県)
最初に駐車場で声をかけ、山頂で再会した。まるで山ガイドさんのように、丁寧に山々の説明をしてもらった。
その後も縦走路途中の高清水山近くで再度バッタリ、一緒に下山し縄ヶ池で水芭蕉等の花々を見てお別れした。
一回り以上は年上であるが、県外の者に対して偉ぶることなく、丁寧な物腰に感心したものでありました。
▲高倉山(6/14新潟県)
中越でこの山では、今日は人に会わないであろう、と思っていたところにやって来た人が三人。
それぞれに記憶に残る方々でありました。
第一待ち人は地元の若者、ハキハキした素直な登山初心者で、山談義に盛り上がりました。
そして、第二待ち人は群馬のベテラン大先輩、大病にも臆することなく前向きな笑顔が印象的でした。
「家でテレビを見ていると、楽ではあるが直ぐ時間が過ぎてしまう。しんどくても汗をかいて動く方が良い。」と語っていました。「今を大切に」という想いの現れなのでしょう。
最後の第三待ち人は、上越の青年でした。とにかく優しい物腰でした。
山ではなぜかこのタイプが一番多いように思います。
▲天狗岳(6/24長野県)
麦草峠の先発者で、最初のピーク丸山で挨拶、その後、東天狗岳山頂で再会し、話しながら昼食。ここで先発者はUターンで下山し、自分は西天狗岳を回って中山峠からニュウに立ち寄り、白駒池へ下山することにした。
白駒池が近づくころ、前をふらつくように歩く人に会い、顔を見ると先の先発者でありました。
どうやら下山途中の岩場で滑り、顔や手に擦り傷を負ってしまったようです。幸いにも頭を打たずに、メガネも何とか無事のようでした。持ってたリバテープを数枚差し上げ、一緒に駐車場まで帰って来ました。
この事にえらく恐縮されていたようですが、山での受けた恩義は、また別の方に返してあげれば良いものと思っております。
小生も度々その恩義を授かっておりますから。
その後、名刺交換してお別れしました。
(女性)
▲鬼面山(6/4長野県)
浜松の女性単独者、山頂の展望櫓で長々と山談義。
小生と同じく、人の少ない静かな山を好むと語っていましたが、特に南アルプス付近の山々に精通しているようでした。
なお、諏訪湖方面で、お薦めの山を聞くと、先述の守屋山の推薦があり行ってみました。お陰で素晴らしい大展望が見られ、大満足の山行が出来ました。
その後下山中には、目につかない小さな花々にとっても詳しそうでした。
▲籾糠山(6/29岐阜県)
早朝、登山口の駐車場トイレを清掃中のお母さん、会うなり「今日は、久々の晴天ですから、ぜひ山頂まで登ってみてください。アルプスが見えると思いますので。」と話しかけてくれた満面の笑みが強く印象に残っています。
その後、山の保全パトロール隊員の方と分かりましたが、下山後も旅談義で長々話し、温泉の駐車場まで先導していただきました。
隊員の方は、みんな山が好きでたまらないといった顔つきでありました。
▲一ノ峰(7/3岐阜県)
銚子ヶ峰から続く花の稜線を越え、ようやくたどり着いた一ノ峰のピークで休憩中、聞こえてきた鈴の音の先に現れたのは、三十代と思われる女性単独者だった。
自分より半時間早く出発しただけで、ここから二ノ峰、三ノ峰まで登り、戻ってきたと言うから驚きである。しかも足のスパッツを片方無くすほどの笹薮をもがきながらの山行だったようです。
山を歩く人には、とんでもない人がたくさんいるということであります。
小生のような凡人には、とても真似の出来ることではありませんねえ!
〈5〉記憶のひとコマを数点
〈5/19雨天休日の午後、夕照の若狭〉
〈5/20福井県▲日野山登山道から田植えの終わった越前平野を俯瞰する〉
〈5/21福井県▲銀杏峰には、春の花がいっぱいでした〉
〈5/22石川県▲鈴ヶ岳登山道に咲き出したばかりのサンカヨウの群落〉
〈5/23富山県▲高落陽山から縦走した縄ヶ池周辺は花盛りでした〉
〈5/24富山県▲塔倉山の山頂に現れたカモシカに見つめられ、こちらがビックリ!〉
〈5/26富山県▲小佐波御前山の山中にて立派な「手形」を発見!、慌てて鈴を鳴らしました〉
〈5/28岐阜県▲福地山の山頂から見た残雪の槍穂高連峰〉
〈5/29岐阜県福地温泉の小生行きつけ休憩所「昔話の里」名物女将モドキのNさん、二年ぶりにお会い出来ました〉
〈5/29長野県▲十二ガ岳山頂から展望する広大な▲乗鞍岳の全貌〉
〈5/31岐阜県▲二ツ森山山頂から噴煙あげる▲御嶽山〉
〈6/2長野県▲富士見台山の山麓で見つけた珍しく真っ白のミヤマオダマキの花〉
〈6/5遠く長野県南信濃しらびそ高原から見えた朝焼けの槍ヶ岳〉
〈6/8中信の▲戸谷峰山頂から見た雲上の槍穂高連峰〉
〈6/8長野県▲戸谷峰の山中にて、立派な巨木と対峙する蝶〉
〈6/10長野県聖高原から見えた朝の後立山連峰〉
〈6/11長野県小川村のアルプス展望台からの眺め〉
〈6/12新潟県▲天水山の登山道で見つけたギンリョウソウが「あっち見てホイ!」北越の山に多かった〉
〈6/13新潟県▲刈羽黒姫山登山口に向かう途中で朝の信越方面を眺望する〉
〈6/17ツツジが咲き出した朝の野反湖畔、後ろは▲八間山〉
〈6/18雨の休日に長野県六合村のチャツボミゴケ公園を観賞、強酸性の水に生育する珍しい苔群模様〉
〈6/18水が造り出す「雨の物語」〉
〈6/20不気味に噴煙あげる▲浅間山の朝焼け〉
〈6/20明ける浅間高原〉
〈6/20長野県▲茂来山山頂で蜘蛛の巣が魅せる水滴模様〉
〈6/21ガスに煙る八千穂高原の白樺〉
〈6/22八ヶ岳山麓美しの森に隠されたクリンソウの群落〉
〈6/23長野県▲入笠山のクリンソウ群落〉
〈6/23▲入笠山樹林帯のブナ〉
〈6/24北八ヶ岳の深い樹林帯に朝日射す〉
〈6/24北八ヶ岳の鬱蒼とした深い樹林帯〉
〈6/24長野県▲天狗岳への登山道には、イワカガミがいっぱい散らばっていた〉
〈6/24長野県▲天狗岳付近で、やっと姿を現した▲八ヶ岳の主峰赤岳~阿弥陀岳〉
〈6/26早朝、車中泊したビーナスライン沿線から眺める左側▲蓼科山~▲八ヶ岳連峰にかけての山並〉
〈6/29▲籾糠山で緑のベールを被ったような清々しいブナ林に出会う〉
〈7/2岐阜県▲鷲ヶ岳登山からの帰りに眺めた夕照の白山連峰〉
〈7/3岐阜県▲銚子ヶ峰登山道の瑞々しいブナ〉
〈7/5岐阜県▲貝月山登山道にて、マクロで見つけた足元に転がる宝石〉
◆山行総括
今年は北陸地方の梅雨入りが大幅に遅れるなど、山行前半は例年になく晴天の日が多く、新記録となる14日連続登山し、1日雨でまた12日連続と山行が順調に続いたが、その後六月半ばから小雨降る日が増えてきたようでした。
天気が良くてもこの時期は、モヤーと霞がちの日が多く肉眼で見えてもカメラには写らない展望の日も有りました。途中で治療済みの差し歯が抜けるなど、痛みは無いが口内ケアーに気を付けながらの旅だったが、その他にはアクシデントも無く、当初予定していた山々をほとんどこなし、途中地元の方の推薦の山も含め▲50山登頂出来ました。
この時期は、北海道や東北地方が多かっただけに、二年ぶりにしかも初めて南信地方を回るなど花と展望、いろんな人との出会いと充実した山行が出来たと思います。