田村さんの記事を掲載させていただきました。
カラタチに誘われて
たいがいの人が知っているアゲハチョウの食樹を調べると、サンショウ類とカラタチと書かれている。わが家ではサンショウとカラスザンショウを庭に植えてあるので、年に何回もアゲハチョウの雌が産卵に訪れる。カラタチはトゲが太く鋭いので植えていない。
私が子供のころ、近くの足利高校の土手にはカラタチの生け垣が張り巡らされていた。また、近くの墓地にもカラタチの木が植えられていた。鉄条網顔負けのトゲトゲなので外部からの進入を防ぐ目的で植えられたようだ。今ではブロック塀などに変り、数本残っていたカラタチも役目を終え切られてしまった。
小学唱歌、北原白秋と山田耕筰の「からたちの花」、乙女心を歌った島倉千代子の「からたち日記」ーこれらの歌を知っている方は、私と同じくらいかそれ以上の年齢の方?
「からたちの花が咲いたよ・・・」と歌われているが、まだ葉が出ていないころに咲く清楚な白い五弁の花を見たことある方は少ないだろう。今、私が知っている場所はほんの数カ所。カラタチの名前も美しい歌も忘れ去られてしまうのだろうか?
ところが調べて驚いた。ミカン類繁殖のため接ぎ木の台木用として大活躍しているとのこと。日本のミカン類が「世界まれに見る発展を遂げたのは「カラタチ」のおかげである。」・・・と書かれているのを読んで驚いたし、うれしくも思った。
今月の上旬、ネットで知り合った短歌や俳句をたしなむHさん親子が、ヒガンバナなどの咲く里山を散策したいということで東京から足利を訪れた。足利や佐野市飛駒町周辺の里山が気に入っていて何度も訪れている。事前に下見をしておいたコースを丁寧にたどる。
ヒガンバナはまだ新鮮な花も多く、黄色く実った稲穂と共に、鮮やかで健康そうな色彩を放っている。その上空を赤トンボが逆光の中、羽を白く輝かせ無数に飛んでいる。あちこちからモズの高鳴きが聞こえる。
もう十分里の秋を満喫した。飛駒も最奥まで回ってきた。車を足利に向け走らせていると、ピンポン玉くらいの黄色い実がたくさん実っている光景が目に飛び込んできた。それは懐かしいカラタチの実だと瞬間に判断できた。車をバックし、確認するため三人はそこまで歩いた。いつの間にか「カラタチの花」を口ずさんでいた私たちがいた。
2007年 10月21日掲載
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私は、カラタチは知りませんでした。
天気が続いて助かりますね。