先日、坂上さんの番組『つぶれない店』で、プロボクサー八重樫さんの経営する飲食店(赤字続き)を、プロ経営者(富士そばの会長)が立て直す、という企画をやってました。
ザックリ言うと
看板から店内まで『ボクシング推し』だったお店を
『ボクシング色一切なしの、大衆居酒屋に』というものでした。
結果は見事にV字回復。
さすが会長。
めでたし、めでたし。
となったわけですが。
なんだこのモヤモヤ。
そうだ。
いわゆる最近のセオリーが否定されている。
最近のセオリーとは、
『ターゲットを絞れ』
です。
あれもこれもは、流行らない。
あれかこれか、である。
例えば、ビール業界に突如として現れた「水曜日のネコ」などで知られる【ヤッホーブルーイング】。
ここは30代くらいのバリバリ働くOLにターゲットを絞っています。
だからこそ、ネーミングもパッケージもその層にピンポイントで受けたし、大手がひしめくビール業界で、隙間を狙って新参者がシェアを伸ばすこともできました。
おじさん達からすれば「なんだ?水曜日のネコって。ビールっぽくねえじゃん」と思われるかもしれませんが、
それでいいんです。
おじさんたちは対象じゃないので!!
また、それこそ「つぶれない店」で以前出ていた、生キャラメルのヒットでおなじみ「田中義剛社長」は
新しく「チーズ」で・・・・もっと言えば「モッツァレラチーズ」で新規開拓に成功しています。
チーズではないんです。「モッツァレラチーズ」に専門特化することで、他社にはない強みを一点集中することができ、
成功率が上がります。
アシックス創業者「鬼塚喜八郎」氏の名言「持てる力を1点に集中させれば、必ず穴があく。」ということからも
あれもこれも、ではなく、
あれかこれか、がいかに重要かがわかります。
さて、冒頭に戻って。八重樫さんのお店は、そういう意味では「ボクシング」にターゲットを絞っていて、一見「よい選択」のように思えます。
一方富士そばの丹会長は、失礼ながら、ターゲットをしぼらないセオリーとは逆行する選択のように思えます。
自分が感じたモヤモヤとはこれでした。
では何故、ターゲットを絞ったはずの八重樫さんのお店が赤字続きで
ターゲットを広げた丹会長の大衆居酒屋がV字回復したのでしょうか。
図を書けばスッキリしました。
八重樫さんのお店は、「ボクシング選手が経営している」ということを除いて、
ボクシングに特化してるわけでもなかったんです。
例えば、ボクシングの選手が取り入れているような食事、
ダイエットやドヘルシー食(「ヘルシー」ではない。「ドヘルシー」)を全面に打ち出すとか
あと、八重樫さんを売りにするなら、八重樫ご本人が店頭にいなきゃダメですよね。
お客は八重樫さんについているわけですから。
店内のテレビも終始ボクシングの試合映像が流れているとか、
場所もボクシングジムが近くにあるような場所を選ぶとか。
定期的に歴代のボクシングチャンプを呼んで、食事&トークイベントを開いてもいいかもしれません。
つまり、やるなら何から何まで「ボクシング好きの、ボクシング好きによる、ボクシング好きのためのお店」に特化しなければいけなかったわけです。
逆に、そこまですると「世のボクシング好きの人たちの(今までなかった)場所」が用意されるわけですし、
ちょっとしたボクシングの聖地ってことで、全国からファンが集まってくるかもしれません。
何しろ八重樫さんに会える店、ともなれば、にわかファンも通ったでしょう。
丹会長は、場所がサラリーマンのベッドタウンということを考慮して、
「居酒屋かボクシングか」で「ボクシングを切った」わけです。
そしてとことん大衆居酒屋に特化した。
あれもこれも、じゃなく
やはり「あれか、これか」なわけですね。
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