極楽写真倶楽部 「ゆ」

なんとなく撮って載せてみる写真のブログ from 北京。

新・カラーネガフィルムのスキャンとレタッチ

2008年05月11日 | 一眼レフ - 広角レンズ


Nikon FM / NIKKOR-N Auto 24mm 1:2.8 / Fujifilm Reala 
プノンペン/カンボジア
 

最近ここで使っているgooのブログサービスを、有償のgooブログアドバンスに切り替えて、アクセス解析を閲覧することができるようになりました。検索ワードとか、閲覧して頂いているページが日毎にわかるようになり、なかなか興味深いです。

一応写真の掲載を主としていることもあり、お陰様でカメラやレンズ、フィルムの名前で検索してくださる方が割りと多く、嬉しく思っています。

そんな中で結構多いのが「カラーネガフィルム」「レタッチ」関連ワードを組み合わせた検索。おそらく、ネガフィルムをスキャンしてみたものの、思うような画像が得られず困っている、そんな状況かと思います。

で、行き着いているページは多分ここ。この「カラーネガフィルムのスキャンとネガフィルムっぽいレタッチ」、スキャンしたネガの画像のレタッチに当時苦心した中で見つけた自分なりの方法について書いたものですが、今見ると、ちょっとどうかな、みたいな内容だったり、使っているスキャナーが変わって今は同じことが出来なくなっているので、今回は新バージョンをお送りしたいと思います。

市販されているフィルムスキャンやスキャナーに関する書籍・ウェブページで紹介されているレタッチ方法は、どちらかというと細かい仕上げによる最終的なクォリティー向上に触れているものが多いと思います。ここで書くのはその前の段階、スキャン後の画像の色がおかしくて困った!って時の対応に関して。とてもざっくりした話です。

<画像1>スキャンしたままの画像

Nikon FM / NIKKOR-N Auto 24mm 1:2.8 / Fujifilm Reala 
プノンペン/カンボジア
 

スキャナーはNikonのSuper Coolscan 5000EDという35mmフィルム専用のもの。不満もなくはないけど、きれいにスキャンでき、重宝しています。

カラーネガフィルムはポジと違って、そもそも明るさやコントラスト、色のバランスがとれておらず、銀塩プリントの場合もプリント時に一枚一枚調整されています。

スキャンの場合はどうなるかというと、スキャナーやそのソフトにより、大抵の場合スキャン前後で自動的に調整されます。この調整がうまくいけばきれいな画が出てくるのですが、所詮は機械。スキャナーお任せにすると、どうも変な色の画像になってしまうことが多いです。<画像1>は、そんなスキャナーお任せでスキャンしたままの画像です。

これを手動で調整する場合、ひとつはスキャンする前の画像プレビューの段階でいじるという方法があります。この方がクォリティーは高くなると思いますが、スキャン前に一枚一枚そんなことをするのは面倒なので、自分の場合はほとんどスキャンした後にレタッチソフトで調整しています。

スキャナー用ソフト設定をいじっているのは一箇所だけ。全体のコントラストを若干弱めています。これは、自動調整に完全に任せると、スキャンの段階で既に白トビ黒つぶれが発生し、その後のレタッチでどうしようもなくなるからです。スキャンの時点では素材が出てくればOKで、調整は後でやります、みたいな感じです。

Super Coolscan5000では<画像1>のように緑(Green)が強く出てくるケースが多いです。でも、ちゃんと調整できるから大丈夫。

<画像2>レタッチソフトの自動コントラスト処理による画像

Nikon FM / NIKKOR-N Auto 24mm 1:2.8 / Fujifilm Reala 
プノンペン/カンボジア
 

ここからが、パソコンのレタッチソフトによる調整。自分が使っているのはNikon Captureというソフト。このソフトはニコンのデジカメ用のソフトなんですが、こんなソフトでも調整できます。っていうかPhotoshopとか持ってないし。なので、大抵のレタッチソフトで同じことが出来ます、多分。

<画像2>は、そのレタッチソフトの「自動コントラスト調整」を適用したもの。これはどのレタッチソフトにも付いている機能だと思います。何をやっているかというと、RGB(赤緑青)各色のデータがある範囲の上限をハイライトめいっぱいに、下限をシャドーめいっぱいにする、そんな感じです(説明下手ですみません)。

多くの場合、この自動コントラスト調整でなんとかそれっぽい画が出てきます。でも、<画像2>の場合はまだ緑や青がかぶっているし、自動調整だとハイライト/シャドー付近がちょっと汚くなったりすることが多く、やっぱり手動で調整したほうがきれいです。

以下、説明するレタッチ作業の流れです。

- RGB各色シャドー部を調整
- RGB各色中間調ポイント(ガンマ値)の調整
- RGB各色ハイライトの調整
- 全体の明るさ/コントラストの調整

<画像3>シャドー部を調整

Nikon FM / NIKKOR-N Auto 24mm 1:2.8 / Fujifilm Reala 
プノンペン/カンボジア
 

ここからの調整は、レタッチソフトの「トーンカーブ」のところのみを使用します。他は要りません。

これは、<画像1>スキャン直後の画像のRGB各色シャドー部分を手動で調整した画像です。RGB各色のトーンカーブは、次のようになります。



RGB(赤緑青)各色のデータがある下限のところで切る、みたいな感じです。例えば「赤」なら、グラフの左の方に縦の点線があり、ここ(数値は24)がデータのある下限と判断しています(自分でグラフを目で見て判断する)。これをRGB各色やります。

なお、この調整は、画像の一番暗い部分が「黒」(RGBの値が全て0)という前提でやっています。多くの場合はそれで大体OK。でも黒いところがない写真、例えば空の写真とか、そういうのには使えないので、その場合は写真画像を目で見て調整になります。

で、大抵の場合はこの段階でそこそこバランスのとれた画になるんですが、この写真は手強いですね。全然ダメ。

<画像4>中間調ポイント(ガンマ値)の調整

Nikon FM / NIKKOR-N Auto 24mm 1:2.8 / Fujifilm Reala 
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この後の調整はいろいろやり方がありますが、ここではRGB各色の中間調ポイント(ガンマ値)をいじります。

ひとつ前の<画像3>は、見た感じ緑(G)と青(B)が強く出ており、これを調整したのが<画像4>。調整後の各色のトーンカーブは次の通り。



これは、写真画像を見ながら適当に調節します。なお、RBG各色のガンマ値をいじると、次のように変化します。

ガンマ値減 <--> ガンマ値増
--------
[R(赤)] シアン増/赤減 <--> 赤増/シアン減
[G(緑)] マゼンダ増/緑減 <--> 緑増/マゼンダ減
[B(青)] イエロー増/青減 <--> 青増/イエロー減

これはガンマ値に限らず、例えば赤を明るくしたらシアンが減ったり、青を暗くしたら黄色が増したりします。「シアン」は水色っぽい色、マゼンダは桃色っぽい赤。シアン(C)/マゼンダ(M)/イエロー(Y)は色の三原色、プリンターのインクにありますよね。赤緑青は光の三原色です。

このガンマ値ですが、値を増やすとどうも締りがなくなるような気がします。なるべく、RGBのうち強く出ている色を減らすような調整をした方が、締りのある画になるのでは、と感じています。<画像4>では緑と青を思いっきりいじり、赤は微調整です。

ここまで来ると、大分ゴールに近付いてきた感じです。

<画像5>ハイライトの調整

Nikon FM / NIKKOR-N Auto 24mm 1:2.8 / Fujifilm Reala 
プノンペン/カンボジア
 

ひとつ前の<画像4>では、明るい部分、特に空の色がちょっと不自然な感じがします。この修正のために、RGB各色のハイライトをいじったのが<画像5>です。各色のトーンカーブは次の通り。



青と緑のハイライト側を上げて、<画像4>にあった空の赤みを消しています。

色の調整はここまでです。

<画像6>全体の明るさ/コントラストの調整

Nikon FM / NIKKOR-N Auto 24mm 1:2.8 / Fujifilm Reala 
プノンペン/カンボジア
 

最後は、全体の明るさとコントラストの調整です。RGB全体をいじります。下のトーンカーブ画像の通り、データのある上限/下限をハイライト/シャドー側にそれぞれ近付け(グラフの縦点線)、トーンカーブは芝生やビルの壁あたりの明るさを固定しつつ、それより暗いところを若干落としています(左下→右上に伸びる黒い曲線)。これで出来上がり。

実際には、画像3~6の作業を行ったり来たりしながらやってます。シャドー/中間調/ハイライトの調整はそれぞれ影響するためです。

何か面倒臭そうですが、これはこれで楽しい作業です。デジカメやポジスキャンのデータに較べ、ネガフィルムのデータはレタッチに強い気がします。大きくいじってもそれほど劣化が少ない、みたいな。不思議ですけど。自分は撮影時の露出設定がちゃらんぽらんなので、やっぱりこういうネガフィルムが重宝します。


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