およよの バーチャル双生児、いろり です。お久しぶりです。
仕事帰りの金曜日、電車に乗り込むと 白杖を突いた痩せた初老の男性が乗って来た。
無言で動く人の群れ。いつもの光景。
白杖男性は ドア横のボックスシートの背もたれを左手で確認し、佇む。
ボックスシートは優先座席、男性4人が座っていた。
若い乗客 □ □ 高齢乗客
中年男性 □ □ 丸刈り
白杖さん○
一番手前の席 白杖男性のすぐ前に座っていたサラリーマンと思しき中年男性が気付き
「ここ、空いてます」と席を立つ。
白杖男性は無言。中年男性は再度「ここ、どうぞ。」と促す。
白杖男性は「どこ?」と聞き返す。中年男性は焦ったのか
「右です」と答えた。
白杖男性の位置からして右は 丸刈り男性が座っている。
いきなりの展開に丸刈りさんは そそくさと席を立つと無言のまま立ち去ってしまった。
それにつられる様に 若い男性と中年男性も しんねり…と車両後方へ移動。
白杖さんは そのまま取り残された。
動き出した電車の中 白杖さんの前 3つの空席。
途中、通路を挟んだ反対側の女性が 「空いてますよ」と声を掛けたが
白杖さんは 無言。女性が「大丈夫ですか?」と訊ねると「大丈夫」と応えている。
次の駅で停車した際 どやどやと乗り込んで来たポロシャツにウエストポーチを付けた男性と
手提げのガテンっぽい2人組。ホームで車窓からの空席を確認して来たようだ。
一瞬 あ… な顔をしたが 手提げ男性は「空いてますよ。座りませんのか?」と声かけ。
白杖さんは ちょっとイラついた様な声で「どこが空いてるのか解らへん!」と言う。
確かに何度も 空いてる、空いてる ばっかり聞かされてるもんな。
するとウエストポーチは、
「え〜、どう言えばええかな。ちょっと触りますで」と言うと
白杖さんの両肩に手をおいて ゆっくりと席に誘う。
「ここですわ」
よぼよぼと不安気ながら されるままになっていた白杖さんは
膝裏で空席を確認すると背中のリュックを ゆっくりと降ろし 安心した様に
席に座った。
白杖さんの横の席には ちゃっかりと手提げが座った。
丸刈りさんの後の空席はいつの間にか別の客が座っていて
ウエストポーチは座れなかったけど。
目が見えない人に 物事を説明する状況って日常にあまりないから
親切で席を空けても それだけでは 伝わらない。
まるで 気だけ使って残された遠慮の塊を見るような 変な空席。
ポロシャツたちの強引さは 声だけより 確実に白杖さんに伝わっていた。
親切や思いやりって 相手に伝わらなかったら意味ないもんな。
自分に ちゃんとしたコミュニケーションスキルが無いことに 少しモヤモヤ。
視覚障がい者外出支援ガイドヘルプの資格、一応 持ってんねんけど。
↑ 使ったこと、ないねん。命 預かるねんで、怖いやん。…という ヘボい わし。