limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

冷静な視点

2017年01月24日 10時36分35秒 | 日記
世界中が注目した世紀の「簒奪式」から数日が経過し、アメリカ帝国皇帝ジョーカーの「簒奪即位演説」の全文の日本語訳が出揃った。「何を言い出すか予測不能」と言わしめたその内容を、改めて精査してみたい。以下は、「史上もっとも軽蔑されるべき演説」の全文と、個々の部分ついての私なりのコメントである。

ロバーツ最高裁判所長官、カーター元大統領、クリントン元大統領、ブッシュ元大統領、オバマ大統領、そしてアメリカ国民の皆さん、世界の皆さん、ありがとう。私たちアメリカ国民はきょう、アメリカを再建し、国民のための約束を守るための、国家的な努力に加わりました。私たちはともに、アメリカと世界が今後数年間進む道を決めます。私たちは課題や困難に直面するでしょう。しかし、私たちはやり遂げます。私たちは4年ごとに、秩序だち、平和的な政権移行のために集結します。私たちは政権移行中の、オバマ大統領、そしてファーストレディーのミシェル夫人からの寛大な支援に感謝します。彼らは本当にすばらしかったです。

アメリカ国民とは言ってはいるが「帝国を再建するのは皇帝である自分だ」と印象付けるためのフェイクに過ぎない。「平和的な政権移行」とも言ってはいるが、会場の外ではデモ隊が集結していたことを考えると、とても平和的とはいえないし、どう見ても「簒奪」にしか感じられない。さらには、会場には選挙戦を戦った「ヒラリークリントン女史」も居たのだが、彼女に対しては何の言葉も配慮も見せないと言う傲慢ぶりが目立つ。

しかし、きょうの就任式はとても特別な意味を持ちます。なぜなら、きょう、私たちは単に、1つの政権から次の政権に、あるいは、1つの政党から別の政党に移行するだけでなく、権限を首都ワシントンの政治からアメリカ国民に返すからです。

「ワシントンの政治からから国民へ返す」と言っているが、「ワシントンの政治家から帝国皇帝ジョーカーへ移譲された宣言」そのものである。国民から「選挙を通じて推戴された皇帝」と思い上がっている何よりの証明だ。

あまりにも長い間、ワシントンの小さなグループが政府の恩恵にあずかる一方で、アメリカ国民が代償を払ってきました。ワシントンは栄えてきましたが、人々はその富を共有していません。政治家は繁栄してきましたが、仕事はなくなり、工場は閉鎖されてきました。既存の勢力は自分たちを守ってきましたが、国民のことは守ってきませんでした。彼らの勝利は皆さんの勝利ではありませんでした。彼らが首都で祝っている一方で、闘っている国中の家族たちを祝うことはほとんどありませんでした。すべてが変わります。いま、ここから始まります。なぜなら、この瞬間は皆さんの瞬間だからです。皆さんのものだからです。ここに集まっている皆さんの、そして、アメリカ国内で演説を見ている皆さんのものだからです。きょうという日は、皆さんの日です。皆さんへのお祝いです。そして、このアメリカ合衆国は、皆さんの国なのです。本当に大切なことは、どちらの政党が政権を握るかではなく、私たちの政府が国民によって統治されているかどうかということなのです。

「どちらの政党が政権を握るかではなく、私たちの政府が国民によって統治されているかどかということ」すなわち「国民に推戴された皇帝が全権を握るのだ」と宣言した瞬間である。また「既存の勢力」と言っても居るが、自身も「巨万の富を持つ既得権益者」であると言う事実を隠蔽しようとしている。言葉のアヤで誤魔化そうとする初歩的な文面にすぎない。更に「皆さんのもの、皆さんの日」とも言っているが、正確には「白人労働者」を指すものだ。移民や不法滞在者やその家族や有色人種の人々を含まないのは、言うまでもない。皇帝が言う「皆さん」とは、白人に限られている。これは選挙戦から一貫して皇帝が繰り返してきた「人種差別発言」を誤魔化すためのセリフにすぎない。

2017年1月20日は、国民が再び国の統治者になった日として記憶されるでしょう。忘れられていた国民は、もう忘れられることはありません。皆があなたたちの声を聞いています。世界がこれまで見たことのない歴史的な運動の一部を担う、数百万もの瞬間に出会うでしょう。この運動の中心には、重要な信念があります。それは、国は国民のために奉仕するというものです。アメリカ国民は、子どもたちのためにすばらしい学校を、家族のために安全な地域を、そして自分たちのためによい仕事を望んでいます。これらは、高潔な皆さんが持つ、当然の要求です。しかし、あまりにも多くの国民が、違う現実に直面しています。母親と子どもたちは貧困にあえぎ、国中に、さびついた工場が墓石のように散らばっています。教育は金がかかり、若く輝かしい生徒たちは知識を得られていません。そして犯罪やギャング、薬物があまりに多くの命を奪い、可能性を奪っています。このアメリカの殺りくは、いま、ここで、終わります。私たちは1つの国であり、彼らの苦痛は私たちの苦痛です。彼らの夢は私たちの夢です。そして、彼らの成功は私たちの成功です。私たちは、1つの心、1つの故郷、そしてひとつの輝かしい運命を共有しています。

「国民が再び国の統治者になった日」ではなく、「皇帝が独裁専制政治を始めた日」と読み替える必要がある。また「国は国民のために奉仕する」とあるが、正しくは「世界がアメリカ帝国のために奉仕し、そのリーダーシップは皇帝である私が執る」である。「アメリカ国民は、子どもたちのために学校を、家族のために安全な地域を、自分たちのためによい仕事を望んでいます。これらは、高潔な皆さんが持つ、当然の要求です。しかし、あまりにも多くの国民が、違う現実に直面しています」とも言っているが、これらはあくまでも白人層向けであり、これまた移民や不法滞在者やその家族や有色人種の人々を含まないのは、言うまでもない。加えて「アメリカの殺りくは、いま、ここで、終わります。私たちは1つの国であり、彼らの苦痛は私たちの苦痛です。彼らの夢は私たちの夢です。そして、彼らの成功は私たちの成功です。私たちは、1つの心、1つの故郷、そしてひとつの輝かしい運命を共有しています。」と述べているが、これも移民や不法滞在者やその家族や有色人種の人々を含まない。それだけでなく、これから始まるであろうアメリカ帝国国内での「不法滞在者の強制送還」と「イスラム教徒への容赦ない弾圧」を示唆した文面だと思う。皇帝ジョーカーの密やかな「戦線布告」に等しい。

きょうの私の宣誓は、すべてのアメリカ国民に対する忠誠の宣誓です。何十年もの間、私たちは、アメリカの産業を犠牲にして、外国の産業を豊かにしてきました。ほかの国の軍隊を支援する一方で、非常に悲しいことに、われわれの軍を犠牲にしました。ほかの国の国境を守る一方で、自分たちの国境を守ることを拒んできました。そして、何兆ドルも海外で使う一方で、アメリカの産業は荒廃し衰退してきました。私たちが他の国を豊かにする一方で、われわれの国の富と強さ、そして自信は地平線のかなたに消えていきました。取り残される何百万人ものアメリカの労働者のことを考えもせず、1つまた1つと、工場は閉鎖し、この国をあとにしていきました。中間層の富は、彼らの家庭から奪われ、世界中で再分配されてきました。しかし、それは過去のことです。いま、私たちは未来だけに目を向けています。きょうここに集まった私たちは、新たな命令を発します。すべての都市、すべての外国の首都、そして権力が集まるすべての場所で、知られることになるでしょう。この日以降、新たなビジョンがわれわれの国を統治するでしょう。

「きょうの私の宣誓は、すべてのアメリカ国民に対する忠誠の宣誓」とは「アメリカ帝国国民は、皇帝である我に忠誠を誓え!」と読み替える必要がある。「何十年もの間、アメリカの産業を犠牲にし、外国の産業を豊かにしてきた。ほかの国の軍隊を支援する一方で、われわれの軍を犠牲にした。ほかの国の国境を守る一方で、自分たちの国境を守ることを拒んできた。そして、何兆ドルも海外で使う一方で、アメリカの産業は荒廃し衰退していった。私たちが他の国を豊かにする一方で、われわれの国の富と強さ、そして自信は地平線のかなたに消えていった。」と述べているが、皇帝ジョーカーの認識は古臭く、どこかずれている。グローバル化の進行により、より安い労働力を求めて海外に進出するのは、企業経営の面から見れば当然の選択である。最適な地域で適正な価格で生産することで、コストの削減と供給の最適化を図ったに過ぎない。国内産業が空洞化した責任を「他国に擦り付ける」ことで帝国国民の目線を逸らし、自らの主張を正当化しているだけだ。軍事作戦については「9.11以降のテロとの戦い」は合衆国が主導して行なったものだ。「ブッシュの戦争」を始めたのは、新たな脅威に対してアメリカを護るものだったはず。このあたりの認識もおかしい。海外での生産が加速すれば、国内が衰退するのは自然な流れ。一方で企業は利益を上げ続けたのだから、富を奪われたと主張するのはおかしい。「何百万人ものアメリカの労働者のことを考えもせず、1つまた1つと、工場は閉鎖し、この国をあとにしていきました。中間層の富は、彼らの家庭から奪われ、世界中で再分配されてきました。」アメリカの労働者・中間層とは「白人の中間層」を指すもので、帝国経済を下支えしている移民や不法滞在者やその家族や有色人種の人々の事ではない。また、世界中で中間層の富が再配分されたと言っているが、帝国富裕層の懐も暖めたのではないか?「きょうここに集まった私たちは、新たな命令を発します。すべての都市、すべての外国の首都、そして権力が集まるすべての場所で、知られることになるでしょう。この日以降、新たなビジョンがわれわれの国を統治する」とはすなわち次に述べようとする宣言を高らかに言うためのお飾りだが、同時に簒奪会場全体に聴かせたかった世界に向けての「脅し」だろう。


この瞬間から、アメリカ第一となります。貿易、税、移民、外交問題に関するすべての決断は、アメリカの労働者とアメリカの家族を利するために下されます。ほかの国々が、われわれの製品を作り、われわれの企業を奪い取り、われわれの雇用を破壊するという略奪から、われわれの国境を守らなければなりません。保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながるのです。わたしは全力で皆さんのために戦います。何があっても皆さんを失望させません。アメリカは再び勝ち始めるでしょう、かつて無いほど勝つでしょう。私たちは雇用を取り戻します。私たちは国境を取り戻します。私たちは富を取り戻します。そして、私たちの夢を取り戻します。

「この瞬間から、アメリカ第一となります。貿易、税、移民、外交問題に関するすべての決断は、アメリカの労働者とアメリカの家族を利するために下されます。ほかの国々が、われわれの製品を作り、われわれの企業を奪い取り、われわれの雇用を破壊するという略奪から、われわれの国境を守らなければなりません。保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながるのです。」すべての決断は「アメリカ帝国の利益のためだけに皇帝ジョーカーが下す」「アメリカ帝国第一主義」を高らかに謳い世界中を震撼させた瞬間。ツイッター艦砲射撃の延長をここでもぶっ放した。

私たちは、新しい道、高速道路、橋、空港、トンネル、そして鉄道を、このすばらしい国の至る所につくるでしょう。私たちは、人々を生活保護から切り離し、再び仕事につかせるでしょう。アメリカ人の手によって、アメリカの労働者によって、われわれの国を再建します。私たちは2つの簡単なルールを守ります。アメリカのものを買い、アメリカ人を雇用します。私たちは、世界の国々に、友情と親善を求めるでしょう。しかし、そうしながらも、すべての国々に、自分たちの利益を最優先にする権利があることを理解しています。私たちは、自分の生き方を他の人たちに押しつけるのではなく、自分たちの生き方が輝くことによって、他の人たちの手本となるようにします。

「新しい道、高速道路、橋、空港、トンネル、そして鉄道を、このすばらしい国の至る所につくる」と言って入るが、財政的な裏づけは何も無い。いわゆる「空手形」でしかない。「アメリカ人の手によって、アメリカの労働者によって、われわれの国を再建します。」移民や不法滞在者やその家族や有色人種の人々を含まないことは、言うまでもない。皇帝言うアメリカ人とは「白人中間層と富裕層」である。「私たちは2つの簡単なルールを守ります。アメリカのものを買い、アメリカ人を雇用します」簒奪式当日の服装はどこで作られた製品なのか?ツイッターに使用した携帯端末・パソコンはどこの製品か?アメリカで作られたモノではないのは明らかであり、自ら実践していない。農産物と天然資源以外にアメリカ国内製を見つけること自体が困難にも関わらず抜けぬけと言い放つ強気の姿勢がどこまで続くのか?ツイッター艦砲射撃で雇用に関する数字は、目に見える形で帝国国民に伝わっているが、脅迫と圧力に屈する企業・国家ばかりではないことを認識すべき。「世界の国々に、友情と親善を求める・自分の生き方を他の人たちに押しつけるのではなく、自分たちの生き方が輝くことによって、他の人たちの手本となる」やりすぎたツイッター艦砲射撃で、選挙中の差別的発言で信用は失われていることに気付いていない。保護主義・至上主義・差別主義を世界に拡散させ、世界経済や政治や軍事バランスを失わせる魂胆なのか?アメリカ帝国主義が第一だとするならば、誰も積極的に見習うことはない。

私たちは古い同盟関係を強化し、新たな同盟を作ります。そして、文明社会を結束させ、過激なイスラムのテロを地球から完全に根絶します。私たちの政治の根本にあるのは、アメリカに対する完全な忠誠心です。そして、国への忠誠心を通して、私たちはお互いに対する誠実さを再発見することになります。もし愛国心に心を開けば、偏見が生まれる余地はありません。聖書は「神の民が団結して生きていることができたら、どれほどすばらしいことでしょうか」と私たちに伝えています。私たちは心を開いて語り合い、意見が合わないことについては率直に議論をし、しかし、常に団結することを追い求めなければなりません。アメリカが団結すれば、誰も、アメリカが前に進むことを止めることはできないでしょう。そこにおそれがあってはなりません。私たちは守られ、そして守られ続けます。私たちは、すばらしい軍隊、そして、法の執行機関で働くすばらしい男性、女性に、守られています。そして最も大切なことですが、私たちは神によって守られています。

「古い同盟関係を強化し、新たな同盟を作ります」NATOの「形骸化」発言。日米同盟、日米韓の協調による北朝鮮への抑止枠組み、中国の海洋進出、対ロシアへの展開・協力関係の再構築をどうするのか?具体的な内容が無い。「文明社会を結束させ、過激なイスラムのテロを地球から完全に根絶します」まずは、自国内のイスラム教徒への大弾圧を予告。大量殺戮への序曲だ。「政治の根本にあるのは、アメリカに対する完全な忠誠心です。そして、国への忠誠心を通して、私たちはお互いに対する誠実さを再発見することになる」皇帝ジョーカーへの忠誠を誓わなければ、国民とは「呼ばない」宣言。反ジョーカー運動に対する強烈なけん制のつもりか?「愛国心に心を開けば、偏見が生まれる余地はありません」あらゆる部分で偏見と差別に凝り固まった皇帝ジョーカーが言うべきセリフではない。まずは、自らを正せ!!「心を開いて語り合い、意見が合わないことについては率直に議論をし、しかし、常に団結することを追い求めなければなりません。アメリカが団結すれば、誰も、アメリカが前に進むことを止めることはできない」史上最悪の分断と偏見と差別を生み出し、アメリカを混迷のどん底に陥れた事に対して「融和と団結」を呼び掛けたつもりだろうが、この程度のセリフ・言葉では修復不可能なほどにキズは深いことをまったく考慮していない。

最後に、私たちは大きく考え、大きな夢を見るべきです。アメリカの人々は、努力をしているからこそ、国が存在し続けていけるということを理解しています。私たちは、話すだけで常に不満を述べ、行動を起こさず、問題に対応しようとしない政治家を受け入れる余地はありません。空虚な話をする時間は終わりました。行動を起こすときが来たのです。できないことを話すのはもうやめましょう。アメリカの心、闘争心、魂を打ち負かすような課題は、存在しません。私たちが失敗することはありません。私たちは再び栄え、繁栄するでしょう。私たちはこの新世紀のはじめに、宇宙の謎を解き明かし、地球を病から解放し、明日のエネルギーや産業、そして技術を、利用しようとしています。新しい国の誇りは私たちの魂を呼び覚まし、新しい視野を与え、分断を癒やすことになるでしょう。私たちの兵士が決して忘れなかった、古くからの知恵を思い起こすときです。それは私たちが黒い肌であろうと、褐色の肌であろうと、白い肌であろうと、私たちは同じ愛国者の赤い血を流し、偉大な自由を享受し、そして、偉大なアメリカ国旗をたたえるということです。そしてデトロイトの郊外で生まれた子どもたちも、風に吹きさらされたネブラスカで生まれた子どもたちも、同じ夜空を見て、同じ夢で心を満たし、同じ全知全能の創造者によって命を与えられています。だからこそアメリカ人の皆さん、近い街にいる人も、遠い街にいる人も、小さな村にいる人も、大きな村にいる人も、山から山へ、海から海へと、この言葉を伝えます。あなたたちは二度と無視されることはありません。あなたの声、希望、夢はアメリカの運命を決定づけます。そしてあなたの勇気、善良さ、愛は私たちの歩む道を導きます。ともに、私たちはアメリカを再び強くします。私たちはアメリカを再び豊かにします。私たちはアメリカを再び誇り高い国にします。私たちはアメリカを再び安全な国にします。そして、ともに、私たちはアメリカを再び偉大にします。ありがとうございます。神の祝福が皆様にありますように。神がアメリカを祝福しますように。

「話すだけで常に不満を述べ、行動を起こさず、問題に対応しようとしない政治家を受け入れる余地はありません」自分が行なっていることを棚に上げて、よく言いきれるものだ。「新しい国の誇りは私たちの魂を呼び覚まし、新しい視野を与え、分断を癒やすことになるでしょう。私たちの兵士が決して忘れなかった、古くからの知恵を思い起こすときです。それは私たちが黒い肌であろうと、褐色の肌であろうと、白い肌であろうと、私たちは同じ愛国者の赤い血を流し、偉大な自由を享受し、そして、偉大なアメリカ国旗をたたえるということです」今更ここで「きれい事」を言ってみても、誰も信用しないと思う。欺瞞だ。「そして、ともに、私たちはアメリカを再び偉大にします」お決まりのセリフで締めたが、説得力は限り無くゼロに近い。

総括
改めて全文に目を通し、心に残ったのは「虚無感と不安」だけだった。ホワイトハウスの主人の「言葉」にしては、あまりに中身が無く「粉飾演説」の匂いがプンプンと立ち昇っている。だが、気になる部分も無くはない。皇帝ジョーカーの「認識の古さ」だ。1980年代の日米貿易摩擦全盛時代で、思考が止まっているように思えてならない。今の国際社会情勢を正確に把握しておかなければ、国際舞台で赤っ恥をかくことになりかねない。恥をかくだけならいいが、判断を誤る怖れは否定できない。誤った認識は国家間に要らざる波風を立てるだけでなく、時として対立の火種となる。保護主義・至上主義・差別主義で国境を封鎖し、自国最優先主義を掲げる皇帝ジョーカー。彼が「何を目指すのか?」「どこまでやるのか?」世界が固唾を呑んで見守っている。簒奪演説がこれから起こる「恐怖政治の時代」の序曲だとしたら、地球全体が震撼することになる。アジアで勢力を拡大しつつある中国。ICBMの用意がある北朝鮮。東アジアの安全保障に関しても欧州における安全保障に関しても、具体的な言及は無いに等しく「自由と平和」に関するアメリカ帝国の立ち位置に関しても、何も語らなかった。「アメリカ帝国が第一」のみを言い続け、既存路線の破壊を訴えた皇帝ジョーカー。「史上もっとも軽蔑されるべき簒奪演説」は、世界の平和と平等と博愛に対する卑劣な挑戦状に思える。