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チョムスキー「ガザ2009の闇の奥-あらゆる蛮行を根絶しなさい-」<訳:レンゲ・メレンゲ>-5

2009-02-14 | 中東問題
続き 

米国-イスラエルによるガザ攻撃は2006年1月にエスカレートしましたが、これはその前の撤退から数ヶ月して、パレスチナ人が(イスラエルにとっては)本当に憎むべき犯罪を犯した時です。すなわちパレスチナ人が自由選挙で「間違った方向に」投票したときです。他の人々同様に、パレスチナ人が学んだことは、「自由への熱望」について雄弁であり続ける例の支配者の命令に不服従を通せば無事に済むことはなく、必ず教養ある階層から嘲りを受ける、ということでしたが、これはもう一つの大きな学習成果でした。

「侵略」と「テロリズム」という言葉が不適切なので、逃げることがまったくできずに檻に閉じこめられている人々に対する残虐で卑劣な拷問を表現するには、新しい言葉が必要です。この人々を土埃になるまで打ちのめしつつあるのは、米国の軍事技術が製造した最新版の兵器であり、これは国際法にも米国の法律にすら違反して使われていますが、無法者国家を自認する敵への攻撃用には、これもまた専門用語の使用の問題となります。

さらにまた別の、言葉の使用事例としては、12月31日、テロ攻撃されるガザの人達が、情け容赦のない襲撃からの避難所を必死で求めている間、米国政府はギリシャからイスラエルまで、3000トンもの大量の未確認「兵器」を輸送するため、ドイツ商船を借り上げたのです。その輸送より「先に、商船を借り上げてもっと大量の兵器の輸送が米国からイスラエルまで、ガザ空爆前の12月に行われた」とロイターが報じました。このすべては、ブッシュ政権によりイスラエルに提供される210億ドルを超える軍事援助とは別で、ほぼすべて譲与です。「イスラエルのガザ地区への介入は主として、米国の税金でまかなわれた米国支給の兵器が激化させた」と、武器売買を監視するニュー・アメリカ・ファウンデーションが短い発表で述べました。2度目の兵器輸送は、ギリシャのどんな港にも「イスラエル軍への支給のための」使用を禁じるというギリシャ政府の決定により、阻止されました。

米国支援のイスラエルの犯罪に対するギリシャ政府の対応は、ほとんどのヨーロッパの指導者の臆病な態度とはかなり異なります。この違いは、米国支援のファシスト独裁政権が1974年に転覆されるまでずっと、米国がかなり現実的に、ギリシャを欧州ではなく中東の一部と見なしていたかもしれないということを示します。おそらくギリシャは、欧州の一部であるにはあまりに文明が進んでいるのでしょう。

もし皆さんがイスラエルへの武器支給のタイミングが興味深いと考え、さらに調べるつもりであれば、国防総省に答えがあります。 しかし、先ほど述べた武器の輸送はガザ攻撃の拡大に間に合うようには到着しない、軍事備品はどんなものであれ、米軍が最終的に使用するためにイスラエルに事前配備されるものである、という疑問が湧くでしょう。それは確かです。イスラエルがパトロンの米国のために行うサービスのひとつが、世界の主要なエネルギー資源産出地の周辺にある同国で、重要な米軍基地を提供するということです。それゆえイスラエルは、米国の攻撃の前哨基地として働く、あるいは専門的言葉を使えば「湾岸を守り」「安定を確保」する働きをすることができるのです。

イスラエルへの大量の武器の流れは、多くの副次的目的にかなうのです。中東政策専門家Mouin Rabbaniは、イスラエルは自衛手段のない攻撃目標に、新たに開発された兵器システムをテストすることができると考えます。このことの価値はイスラエルと米国にとり「実際2倍以上である、なぜなら攻撃に使用するものと同じ武器の効力を少し落としたものが、その後アラブ国家に水増しした大金で売られ、結果的に米国の兵器製造会社を儲けさせ、米国軍からのイスラエルへの譲与を埋め合わせるからだ」と言います。

米国はイスラエルをのぞき、世界の主要武器輸出国の中では飛び抜けて一番です。ニュー・アメリカ・ファウンデーションが最近出した報告の結論では、「米国の兵器と軍事訓練は、世界で2007年に27あった大きな戦争のうち、20において役割を果たし」、米国の受け取った儲けは230億ドルとなり、2008年には320億ドルに増えたとあります。2008年の国連会期中、国連での数多い決議案に米国が反対したものの中に、武器売買の規制を求める議決がありました。2006年には米国だけがこの条約案に反対票を投じましたが、2008年11月に、もう1ヶ国加わりました。ジンバブエです。
 
そのときの12月の国連会期中に、その他の注目すべき投票がありました。「パレスチナ人の自治権」に関する決議が、173対5(反対は米国、イスラエル、太平洋保護領諸島)で採択されたのです。この投票は、米国-イスラエルの拒否姿勢が国際的に孤立していることをはっきりと再確認させるものです。同様に「移動の普遍的自由と(離散)家族合流の重要性」に関する決議は米国、イスラエル、太平洋保護領諸島が反対しましたが採択となりました。反対はおそらくはパレスチナ人への適用を嫌ってのことでしょう。

(この会期中の決議で)「発展への権利」に反対する際に米国はイスラエル票を失いましたが、ウクライナ票を得ました。「食糧への権利」に反対したのは米国だけでしたが、この反対は西洋諸国の経済を脅かす財政危機を小さく見せるほどに、世界中で食糧危機が増大している今、特に目立つ事実です。

国連でのこの投票記録が一貫して報告されず、メディアや順応的知識人により記憶の穴へ落とし込まれるかについては、十分な理由があります。選出された国連代表たちについてこのような記録が意味することを社会に示すのは、賢明ではないでしょう。今のガザ攻撃のケースでは、米国-イスラエルの拒否姿勢が、世界が長らく主張してきている平和的解決を阻みつつ、自治という抽象的な権利さえパレスチナ人に拒むほどになってきているのを社会に知らせることは、全く役に立たないでしょう。

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この記事は、下に記載のサイトから転載したものです。また訳者の意志によりこの記事は転載歓迎です。―編集部
http://www.anatakara.com/petition/exterminate-all-the-brutes.html

また「核とミサイル防衛にNO!キャンペーン」のホームページは、
http://www.geocities.jp/nomd_campaign/index.html
です。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/


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