若生のり子=誰でもポエットでアーティスト

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The Long Roadについてのやり取り

2008-01-26 | Drawings-Noriko Wako
ザッコ 2008年01月19日 00:03
往きか帰りか。
こちらは集団か集合か。糸が解きほぐれていくように人が歩いていくか、または、こちらへ帰ってくるか。

アカショウビン 2008年01月19日 01:32  
背景の色合いが何やら不安な感じです。地上の或る事情で彼らは厚い雲に覆われた空の彼方へ飛び立って行っているように見えます。これまでの穏やかで静的な作品に比べると動きがあります。何かの束縛から逃れたい衝動に駆られているのでしょうか。

ワコウ 2008年01月19日 12:11
ザッコさん、アカショウビンさん

『解脱』のつもりでした。

アカショウビン 2008年01月20日 06:04  
「解脱」とは恐れ入りました。私が他作品に比べ無意識を掻き回されるように共感した理由が腑に落ちた気がします。飛躍しますが、手塚治虫の作品の思想性を集約したもの、とでも言えば少しは自分の気持ちを代弁しているような(笑)。解脱に明るいも暗いもないでしょうが「暗い解脱」と私は評したいですね。ところで仏教文化圏はともかく欧米の方々の評判は如何だったでしょうか?興味あるところです。

アカショウビン 2008年01月20日 06:31  
私のベスト3は次の通りです。
①The Long Road②The Conversation③The Situation

ワコウ 2008年01月22日 19:22
アカショウビンさん

手塚治虫を引き合いに出してくださるとは、畏れ多くて、恐縮至極です。
『暗い解脱』とはいい響きですが、、、。アカショウビンさんらしいと思いました。
さてご質問のことですが。
手前味噌で恐縮ですが、色んな意味でかなりの手応えと反響がありました。(メジャーになったといっているのではありません。)(実質的な面では6枚ほど売れました。)
先ず精神的なところで申しますと:
あちらでは(NYC)、ヨガが大変盛んで、至る所にヨガ教室があります。なにかにつけてメディテイションをします。そういう意味で、禅の深さ?を知っています。
あらゆる欲望、権力欲、金銭欲、性欲、物欲、食欲、が渦巻き、高度資本主義が益々それを助長し、他民族、移民(かっての奴隷船、亡命者や避難民を含む)国家の大都会の中の底なしの孤独、差別、不条理、等々が剥き出しで在るところですから、普通に生活していても日常のストレスは大変なものでそういう意味でちぢに心が乱れること多々です。故に、彼らは精神のバランスを保つ重要性をひしひしと感じています。だからpsychiatristや psychologist の需要が非常に多いです。他のどの国よりも心理学が発達する理由もそこにあります。
明らかにこの人はおかしいなと思う人を日常茶飯事に路上で見かけます。(ワコウは棚に上げて)それは一人や二人ではありませんし。絶望的な孤独で病んでいるという人々が大変多いところでもあります。
『VOICE』と言う誰もが読むフリーで最大の情報誌には何ページもの相手を求むという欄があります。また毎年holiday seasonの11月(Thanks Giving Day)の終わりから12月(Christmas)終わりにかけて自殺者が多発します。その理由は、身も心も凍りつく季節にあって、温かい街の灯は、家族や暖め合う関係がある人にとっては、この上ないthe best season of the yearなのですが、そうでない人にとっては、毎年地獄の季節なのです。ひしひしとその惨めさ、寄る辺無い孤独の辛さを感じる季節なのです。殆どの人々が飽食と消費に狂乱している時に、です。

上述のような背景がありますので、ワコウのドローイングはよく理解されました。
特に、WarmthやHugは彼らにとって必要不可欠なものです。
仏教で言う『解脱』に対しては、そのように受け取っているかどうかは定かではありませんが。魑魅魍魎の人間世界から、内面のFreedomに向かって旅立つと言う意味で理解してほしいといっておきましたが。

ワコウ 2008年01月22日 19:33
アカショウビンさん

続きです。

アカショウビンさんの別ブログで、吉本隆明と中沢新一との対談から『もののあはれ』について考察されているところが少し関係するかもしれないと思い抜粋しました。

<ただ「もののあはれ」は生き物だけでなく存在するものすべて、またそれらの「関係性」をも含みこんでいるように思うが。それは確かに中沢氏が言うように「宗教」さえ包み込む日本文化特有ではない、人という生き物のみに内在する或る大きな「気分」なのかもしれない。しかし、それは概念として欧米の人々と共有できるものなのだろうか?中沢氏の提示した問題は風呂敷を広げすぎている感がしなくもないが追求してみる楽しみもありそうだ。>

アジアの移民の美術家として、ニューヨークで、束の間の旅人や研究者や会社の派遣員ではなく、当地のかれら(欧米人)と同じように日常の生活を背負いながらの視点から申しますと、「もののあはれ」は彼らにも共通概念としてあります。花鳥風月的な「もののあはれ」ではなく、存在することの不思議さ、人間関係の複雑な絡みに対する思い、底なしの孤独等、から生じる「もののあはれ」です。
ですから『源氏物語』の「もののあはれ」はそういう意味でとてもよく感じています。(インテリで親日家)
また、個人主義が徹底していますから、『あるがまま』、『そのまま』を日本的に仕方なくめめしく受け入れるのとは違い、クールにそのことを積極的に受け止めて生きています。 その点では非常にtoughです。

  <ヨーロッパの宗教は、巨大な「もののあはれ」をベースにした、何とも名づけようのない人類的なるものの一部でしかない。ヘーゲルのような体系の作り方は、ヨーロッパを土台にしてつくる体系ですが、そうではない別の体系があるんじゃないかというのが、吉本さんのメッセージのような気がします。>

あちらで生活をしますと、本質的にコトの置き方が全く違う何かを感じざるをえませんでした。これを具体的に書きますのは、もう紙幅が許しませんのでこれくらいにします。

もう一つ。
Community Centerで子供たちに、教えていた時にこの作品を見せましたところ、驚いたことに、すぐさま彼等は、人間世界を描いていると判断しましたし、それぞれのかれら自身の子供らしい感覚のstory を話してくれました。 Warmthやsorrowに対しては老若男女問わず万国共通でした。6歳から9歳までの子供を受け持っていましたが(子供を教えたのは初めての経験でした)この年齢では、感覚的には、日本の子供と変わりがないと思いました。ただ出し方が、良くも悪くも喜怒哀楽がハッキリしていて自分の意見をいうことには慣れている感じでした。当然のこと仏教や禅は彼らの知る由もないことです。

いろいろ考えることが多くて、まだまだ書かなければならないことがあるように思いますが、大変ですので、、、。
大変な質問をいただいたと思っています。
これからもその点については、アカショウビンさんの言い方を真似て、愚考に愚考を重ねていきたいと思います。

アカショウビン 2008年01月23日 01:35
>他民族、移民(かっての奴隷船、亡命者や避難民を含む)国家の大都会の中の底なしの孤独、差別、不条理、等々が剥き出しで在るところですから、普通に生活していても日常のストレスは大変なものでそういう意味でちぢに心が乱れること多々です。

 ★私達がテレビやハリウッド映画で観る映像と現実のギャップは暮らしてみて初めてわかることが多いのでしょうね。

>「もののあはれ」は彼らにも共通概念としてあります。花鳥風月的な「もののあはれ」ではなく、存在することの不思議さ、人間関係の複雑な絡みに対する思い、底なしの孤独等、から生じる「もののあはれ」です。

 ★なるほど。それは嬉しくなるご指摘です。中沢氏が構想しているのは本居宣長が「源氏」から読み取った「もののあはれ」を小林秀雄の読みを通じて、吉本さんたち戦中派の嫌悪感を脱色してプラスに転じて評価していこうということだと思います。それは更に踏み込んで考究していかねばならないもののように思われます。

>あちらで生活をしますと、本質的にコトの置き方が全く違う何かを感じざるをえませんでした。

 ★それは本当に貴重なご経験をされた思います。「コトの置き方」というのは日本人には理解しにくいもののようですね。

アマユウ 2008年01月23日 14:18
株の世界同時下落
下世話ですみません。

ザッコ 2008年01月23日 14:36
ロシアの北朝鮮、イラン外交

ワコウ 2008年01月23日 15:18
ニューヨークに興味のある方へ

 ★私達がテレビやハリウッド映画で観る映像と現実のギャップは暮らしてみて初めてわかることが多いのでしょうね。

見るときくとでは大違いと言うような言葉では表現できない範疇のことでした。行くまでに何度も旅行もしていたし、或る招聘もあり、1ヶ月ほど滞在もして綿密に下調べして決行したことでしたが、着いたその日でその違いを思い知りました。
それは、ベースもバックグラウンドも全く違う異国に移民として、何の権利もなく住むということでした。(合法的なビザは持っていました)そのことの意味のたいへんさを全然解かっていませんでした。自国にいたら国民として当たり前にもっている権利です。その国に生まれたら自動的に獲得するものですから、解ろうはずもありませんでした。

だからと言って、誤解をしないでいただきたいのですが。
経験主義や実践主義を謳歌しているのではありません。
それでは、簡単に足をすくわれ生き馬の目を抜くなんて日常茶飯事のニューヨークでは、転びっぱなしになります。 
それだからこそ、自己の思想が問われます。 真に「哲学」は不可欠です。
書物や研究から得られる哲学を生に切り替えることが出来る、頭と意思と度量が必要です。時々刻々に己を試されて続け、全く容赦のないところです。それゆえとても、excitingナトコロデス。 

ワコウ 2008年01月23日 15:31
アマユウさん

それ観たことかと!

金なんかに重きを置くな!

金を信じるな!

金に代えられないものに思いをいたせ!


アメリカに端を発して、世界不況にならないこと願います。
ナケナシのわれわれ庶民にその付けが回ってこないようにと思います。

ワコウ 2008年01月23日 15:41
ザッコさん

ロシアは本当に狡猾ですね。
日本も裏では何をやっているのかわかりませんが?
外交的には、日本はアメリカの言いなりですから。

ザッコ 2008年01月23日 16:02 先日坂本龍一が、今ニューヨークよりもベルリンのほうが、以前のニューヨークの活気があるというようなことを言っていました。
そうなのでしょうか。
アメリカはどうも相対概念がないと成り立たない国家かもしれません。つまり冷戦時代のソビエトや東ヨーロッパ、キューバ。それ以前に、第一次世界大戦以降の世界構造は、植民地化されなかったアメリカが堂々と世界を謳歌してきた時代です。それが今も続いています。しかし、他の国々は凋落したり、大変です。日本もいまやその真っ只中です。
世界の枠組みは、ユーロとアメリカ・南米、東アジア、ロシアになりつつあります。そして日本は一所懸命アフリカにODA援助をして、アフリカを視野に入れようとしている。
世界の成り立ちとはある意味陣取り合戦ですよね。
まだ戦争をしないだけ。ひとつ違うのが、中東のエネルギー問題。ここはセンシティブで、モータリゼーション国家のアメリカにとっては、産油国はどうしても温存しておかなければいけない。守らなければいけない。そのためには、パレスチナがどうなろうとイスラム民族がどうなろうと構わないというところでしょうか。
芸術と政治を混同してはいけませんが。

ワコウ 2008年01月26日 10:39
ザッコさん

或る人から、ワコウは、ベルリンに行った方がいいよ。
「ドイツの方が、あなたに(ワコウ)に合っているよ」といわれたことがあります。
美術に関してだけ言えばボイス、ハンス、ハーケー、やキファーの国ですから、興味は大変あるのですが、、、。
もう少し若かったらなーと思います。


中国をお忘れです。いまや無視できません。
何といっても。15億以上の人口で安価な労働力、そして超人的な頭脳の持ち主が居るトコロです。
キャピタリズムにとっては、ウハウハの国です。
アメリカは、日本など属国と思っていますから、(基地利用以外)あまり重きを置いていませんが、中国にはかなり重きと注意を払っています。