モルモン教徒の評判 (サイト上）

これは徹底した網羅的なものではなく、最近傾向としてとらえられ
るものとして参考になるのではないか、と考えている。

私なりに多く目にしたものと思われるものから順次記してみた。

１　伝道、布教の宗教という印象。
　モルモン教の宣教師の姿は、すでに暫く前から日本の街角の風物
詩となった感がある。
「二人で自転車に乗っているのはモルモンの宣教師」「身なりがよ
く白人が多く、気軽に声をかけてくる」「布教活動と言えばモルモ
ン宣教師」「宣教師は若くってハンサムなアメリカ人」「街でよく
見かける」など。
　しかし、見慣れてくると、あるいは実際に話しかけられると「相
変わらず」とか「宗教目的で構わないほしい」「断りきれず長く応
対することになって不機嫌（閉口）」という声も。中には「宣教師
につかまって困った、身の危険を感じた、電話番号を聞かれて危険」
という迷惑気味な反応もあった。
　それでも多少冷静に「説伏のような気配はない、淡白な態度」
「英会話で昔世話になった」「宣教師のお兄ちゃんたち、ある意味
懐かしい存在」という書き込みも見られた。また、「寒い中頑張っ
ている」「真剣に取り組んでいて感心」とか「彼らは生き生きして
いる。立派で逞しい（異国に来て外国語を話し宣教活動に従事）」
とさえ見る人がいた。

２　好意的な印象。
　宗教を実践する人に使われる枕詞（まくらことば）的な「敬虔な」
という修飾語が今も時折モルモン教徒に対して使われている。「信
念の人」「よい人たち」、あるいは「キリスト教の一派で、自分は
偏見を持っていない」など。
　中に「父が厳格な教徒であった。教えの中によいものが多くあり、
一概に悪いことばかりではなかった。長所をあげることができる。
例えば、愛に関するよい教えがあり、教養、倫理観の育成、また個
人の精神の救済の意味で、宗教は素晴らしいと思う」と書いた人が
いた。
　好意的な印象では、アメリカを訪れた、あるいは住んでいる日本
人から寄せられることが多い。「日本では宗教は怖いという人がい
るが、米国でモルモン教徒は普通の市民であり、むしろ嘘をつかな
い人たちで、社会的ステータスを与えられている。金銭について任
せられる」とか「プラスでもマイナスでもないイメージである。
ｌｄｓのコミュニテイの中で暮らし、子育てし、老いていく心地よ
さのようなものが理解できる」というような声が書き込まれている。
さらに「人間ができていて、思いやりや気配りが素晴らしい。いい
人ばかり」と賞賛と取れる印象も見かけられた。日本ではまだこう
いった 教徒からよい評判がひろがるまでにはいたっていないように
思われる。話題が変わるが、旅行者がソルトレークシテイなどの神
殿を訪れてその雰囲気に好感をもち、大変綺麗であった、と写真を
添えて記事を投稿している例が増えている。

３　異端であって正統なキリスト教ではないという理解
　このような見方が多く見られるが、発言の多くが他の宗派のキリ
スト教徒や反感を持つ特定のグループからのものであると見て、３
番目に置いた。
　「主要なキリスト教諸派とは大きく異なる教義や儀式が多く、キ
リスト教系の新宗教と定義されるのが通例である。」「モルモン教
は正統派キリスト教ではなく、われわれとは関係がない。」この表
現が特に福音派キリスト教のサイトに断りとして記載されており、
多くのクリスチャンが同じように書いている。「カルトである。危
ない。邪教である」という表現さえ見受けられる。「インターネッ
ト上のサイトはモルモン反対者の相互通信の歴史と言える。かなり
の数の反モルモンサイトがヒットする」という観察もあった。
　注：　近年、たとえば日本基督教団との話し合いにより「モルモ
ン教はキリスト教ではありません」のような記述がプロテスタント
系教会のチラシから除かれるような指導が行われるなど、偏見は減
少しつつある、という報告もある。

　ほかに批判的な見方に「真面目(too serious, or 直解) すぎて原
理主義的な側面がある」「モルモン教以外のことを知らない。無知
である」という指摘もあった。

４　戒律が厳しく、謹厳、厳格
　「戒律が厳しく、峻厳なモルモン教徒」「仕事より宗教を重視し、
制約がある。嗜好品に制約。」「非常に真面目、ストイックで、生
き方に一貫性がある」など。

５　よくわからない（得体が知れない）
　「よく知らないのに何となく悪く言っている」「何だよ、どこい
らの宗教？」「変な連中、大嫌い。」「よくわからなくて、フラス
トレーションを感じる」など。
　このような言い方は少ないが、まだよく理解されていない現実が
依然として残っていることがわかる。

以上、厳密な調査ではないが、最近の状況の一端を示すものではな
いか、と思いまとめてみた。（1994年モルモン歴史学会で日本にお
けるモルモン教会の受容の変遷について発表した時、メディアの記
事から同様の分析をしたことがあった。）

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