[OUPのモットー:Dominus illuminatio mea. 詩27篇、「主はわが光」]
昨2018年「モルモニズムの創設に関わる文書」という書籍が、オックスフォード大学から出版されていた。(入手した時の所感)。執筆者のほぼ全員が末日聖徒であるが、研究者として客観的な視点からそれぞれのテーマについて詳細に論じている。この大学から出版されたということは、この宗教が社会で研究の対象として扱われる価値があると認識されたことを意味する。個人的には2-5、11, 13章に強い関心を覚えている。目を通し次第、順次要約紹介を試みたいと思っている。いずれにせよ重要な書籍であると思うので、取り敢えず以下目次を掲げておきたい。
目次
1章 序文 (教会歴史部職員)
Mark Ashurst-McGee, Robin Scott Jensen, and Sharalyn D. Howcroft
2章 創設にかかわる文書「金版」
Richard Lyman Bushman
3章 モルモン書に本文批評を適用する
Grant Hardy
4章 ジョセフ・スミスが聖書の改訂(翻訳)に取り組んだ目的と間テキスト性からの分析
Thomas A. Wayment
5章 ジョセフ・スミスの啓示: その筆写、編集、正典化
Grant Underwood
6章 ジョセフ・スミスのミズーリ牢獄書簡。そのような文書が果たした役割
David W. Grua
7章 ノーブーにおける扶助協会で指導規範となった議事録
Jennifer Reeder
8章 ジョセフ・スミスの説教と初期モルモン文書記録
William V. Smith
9章 ジョセフ・スミスのノーブー日誌
Alex D. Smith and Andrew H. Hedges
10章 初期のウィルフォード・ウッドラフ日誌 1835-1839年
Laurel Thatcher Ulrich
11章 「ルーシー・マック・スミスの歴史」の本文面と保管状況からの再吟味
Sharalyn D. Howcroft
12章 初期モルモン史において肖像画が文書に並ぶ役割を果たした
Jeffrey G. Cannon
13章 ジョセフ・スミスの抑制的姿勢、初期モルモン史を裏付ける文書稀少
Ronald O. Barney
以下英文の目次
Foreword
Harry S. Stout
Contributors
Chapter 1
Introduction
Mark Ashurst-McGee, Robin Scott Jensen, and Sharalyn D. Howcroft
Chapter 2
The Gold Plates as Foundational Text
Richard Lyman Bushman
Chapter 3
Textual Criticism and the Book of Mormon
Grant Hardy
Chapter 4
Intertextuality and the Purpose of Joseph Smith's New Translation of the Bible
Thomas A. Wayment
Chapter 5
The Dictation, Compilation, and Canonization of Joseph Smith's Revelations
Grant Underwood
Chapter 6
Joseph Smith's Missouri Prison Letters and the Mormon Textual Community
David W. Grua。
Chapter 7
The Textual Culture of the Nauvoo Female Relief Society Leadership and Minute Book
Jennifer Reeder
Chapter 8
Joseph Smith's Sermons and the Early Mormon Documentary Record
William V. Smith
Chapter 9
Joseph Smith's Nauvoo Journals
Alex D. Smith and Andrew H. Hedges
Chapter 10
The Early Diaries of Wilford Woodruff, 1835-1839
Laurel Thatcher Ulrich
Chapter 11
A Textual and Archival Reexamination of Lucy Mack Smith's History
Sharalyn D. Howcroft
Chapter 12
The Image as Text and Context in Early Mormon History
Jeffrey G. Cannon
Chapter 13
Joseph Smith and the Conspicuous Scarcity of Early Mormon Documentation
Ronald O. Barney
もっともほとんどの末日聖徒は、オックスフォードがモルモンの書籍を出すなんて、やっぱりこの教会は真実なんだなと思うだけで、この本を買ったり中身を読んだりはしないでしょうけれど・・・。
ところで東京ディストリビュージョンセンターの時代から末日聖徒イエス・キリスト教会の書籍として「赦しの奇跡」や「救いの教義」などが出版されていましたけど、あれは教会の公式な教義ではないという屁理屈が通用するなら、オックスフォードから出版したところでオックスフォードがモルモンを研究に値すると認めているわけではないということになるのでは?
Richard Lyman Bushman
3章 モルモン書に本文批評を適用する
Grant Hardy
11章 「ルーシー・マック・スミスの歴史」の本文面と保管状況からの再吟味
Sharalyn D. Howcroft
13章 ジョセフ・スミスの抑制的姿勢、初期モルモン史を裏付ける文書稀少
恐らくは、アナバプテスト派の宗教難民の受け皿となったピューリタンたちが渡米定着したことと、モルモニズムの創生は関係があって、表向きには赦されない信仰形態の一定の需要を満たしたため、初期の教会は急成長したものと思われる。
モルモン主義の創設って言われても、そもそもモルモン主義って何?って疑問しかない。
モルモンに「イズム」と呼ぶべきものが有るのか?
私には、そんなものは無いように思えます。
「豚主義」は有りますよ!
食って太る・・・。
ですね。
しかし著名人を多く輩出する名門オックスフォードであれイギリスの大学。
斬新な視点の論文もありましょうが、NJさんのもっている情報を超えることはないかな。との印象です。
本場アメリカのBYUなどの論文の方がやはりこなれている気がします。
アメリカ以外の国の大学が末日聖徒に言及する意味合いは大きいと思いますが。
でも熱心な末日聖徒ほど、末日聖徒に関する研究本は読まないんですよね。この本だっておそらく日本で2冊(NJさんと私)だけじゃないかな(笑)