ルビーが高い評価を得、内外で頻繁に講演会に招かれる超多忙なま
つもとはしばしばメディアで取り上げられるが、このたびは現在の
活躍に至る背景と彼の信仰であるモルモン教に焦点を当てている。
写真の一面を含めて5ページに及ぶ記事の中で私は二つの点に注目
した。それはマイノリティであることを不利としないで強さの土台
としている点とルビーをオープンソースのコミュニテイに託してい
ることを利他的なキリスト教の精神と比較している点である。
少年時代からコンピュータを彼ほどに扱う人は周囲に稀であったこ
と、そしてモルモン教徒であったことが彼にマイナーさを自覚させ
た。しかし後者の場合は信仰の上に立っていたので「孤立を恐れな
い自我の強化」にいたった、と記者は観察する。また、伝道に出た
経験が彼の成長に影響したとも加えている。
オープンソースというプロジェクトは「よいものをみんなに伝えた
いという自発的な活動で伝道師に通じる。そのよさが相手に伝わり、
その人が今度は自分に何かをする。そのスパイラルがオープンソー
スの形」である(アレン・マイナー)。「他人から感謝される喜び
は利己的な側面があるが、他人が自由に使って仕事やお金儲けをし
てもいいというのは利他的なもの」(まつもと)。ルビーを利用し
て金儲けをすることもできたがそうしなかったまつもとの考え方に
この利他的なキリスト教の思想があった、と記事は紹介している。
さらにルビーがうまく発展しているのはまつもとが皆から好かれて
いるからであり、人当たりよく、サービス精神も忘れないから、と
彼の人柄を関係者の言葉で描いている。
*「プログラミング言語[Ruby]開発者 まつもとゆきひろ」Asahi
Shimbun Weekly AERA Vol. 21, No. 45 (2008.10.13) pp. 58-62
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プロテスタントに向けた小冊子ですが社会学者スタークの研究も多く紹介し、なぜキリスト教が当時のローマ世界で勝利することが出来たのか、現在のキリスト教徒がそこから何を学ぶべきかを示唆する内容となっています。
μαρτύριονという語を確認しました。(「評判」のお話、自分のことを考えると冷や汗が出るばかりですが・・)
(あと数ヶ月もすると退職後の生活が待っています。何か古典語の勉強も加えたいと考えているところです。)