横田さんとの個人的なお付き合いについての思い出も多いのですが、今日はもう少し、その仕事について。
横田さんが日本の古典SFに興味を抱くきっかけとなったのは、押川春浪の『海底軍艦』でした。
作品だけてなく、作者である春浪その人についても興味は尽きることなく、ずっと春浪およびその周辺の人についての研究を続けました。その結果、春浪が育ち、活躍した時代――特に明治の人と文化について、独自の造詣を深めていったのです。
横田さんが見出した明治人たちは、純粋で、情熱家で、ロマンチストで、馬鹿馬鹿しいことにも懸命になっていました。つまりは、横田さんのような人たちだったといえるでしょう。これは、つまり、横田さんが自分自身を明治人に投影していたということなのでしょうか。
ともかく、そうした研究結果や、そこから生まれた創作は、今、もっとも広く受け入れられようとしているように見えます。
宮藤官九郎が脚本を書いたNHKの大河ドラマ『いだてん』を、横田さんが目にすることなく逝かれてしまったことが残念でなりません。