昨夜は横田さんの訃報に接し、呆然自失状態。何もできずに時間が経ってしまいました。
一夜明けて、少しは気持ちの整理がついたものの、気がつけば横田さんのことを考えていたり。
なかなかショックから立ち直れそうにありません。命あるものならばいずれ亡くなるものと分かってはいても、こんなにふうに別れが来るとは。
今月4日逝去。享年73。
凄い人だったと思います。天才といっていいのか、誰もがたどり着けない境地というか、ものの見方を身につけていました。
「ハチャハチャ」と名づけられたギャグSFで広く知られましたが、その真髄は「無価値」だったといってしまいたい。徹底してくだらない、と言い換えてもいいかも。
価値観をひっくり返し、すべての意味を無にしてしまうかのような、天衣無縫の笑いが繰り出されました。
しかも、さらに凄いのは、それを「バカだろう?」と、情けなさそうに差し出してくるところ。アナーキーな戦士ではなくて、おバカな語り手に徹していたのです。
最初に〈SFマガジン〉に掲載された「宇宙ゴミ大戦争」は、ファンジンに書いたものに手を加えての転載でしたが、その際、浅倉久志さんの強い推薦があったといいます。ユーモアものの翻訳を得意とする浅倉さんならではの、笑いへの理解力が、横田さんの面白さに太鼓判を押したのでしょう。
横田さんがいて、浅倉さんがいた。日本のユーモアSFのためには、これ以上ない幸せな巡り合わせでした。