朝は涼しかったけれど、だんだん蒸し暑くなってきた。
明日からは、また、市民プール通いの日々が再開しそうです。
〈SFマガジン〉10月号の原稿のために、ウィリアム・サックス脚本/監督『溶解人間』(1977年、アメリカ)を見返しました。
この映画、日本で公開されたのは、たぶん1978年かそこらだったと思いますが、一度、観て以来、すごい好きで、確か〈SFアドベンチャー〉誌の、偏愛するSF映画とかいうアンケートの際にも、名前を挙げたと思います。
でも、はっきりいって単純きわまりないストーリーのC級映画。どうして好きなのか、自分でも理解できていませんでした。
今回、久しぶりに見返して、その理由がわかりました。そして、ある意味、とんでもない傑作なのかもしれないと感じています。
ストーリーは、土星探査の旅から帰還する途中、宇宙飛行士が謎の放射線(太陽フレアによる?)を浴びる。地球の病院に収容されたものの、肉体がドロドロと溶け始め、同時に、人間の血と肉をむさぼりたくなって、あたりをさ迷い歩く、というもの。
怪奇映画にSF風味付けをしたものといってしまえばいいかもしれません。
しかし、そのSF精神がただごとでない。大規模なパニックを目指すわけでもなく、とにかく、溶けてゆく宇宙飛行士の悲惨な道程を追い続けるのみなのです。で、まったく救いのない結末を迎える。
「宇宙になんか出て行っても、ロクなことはありませんよ」と、言っているとしか思えません。これ、低予算でつくったニューウェーブSF映画だといえるんじゃないかな。やっぱり好きだし、ここまで徹底できたのは、凄いとしかいいようがない。
原稿は8月末発売の〈SFマガジン〉に載る予定ですが、ごく短くしか紹介できないので、とりあえず、はみ出しそうな部分をここに書いておきました。