惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

『溶解人間』

2017-07-27 21:18:41 | SF

 朝は涼しかったけれど、だんだん蒸し暑くなってきた。
 明日からは、また、市民プール通いの日々が再開しそうです。

 〈SFマガジン〉10月号の原稿のために、ウィリアム・サックス脚本/監督『溶解人間』(1977年、アメリカ)を見返しました。

 この映画、日本で公開されたのは、たぶん1978年かそこらだったと思いますが、一度、観て以来、すごい好きで、確か〈SFアドベンチャー〉誌の、偏愛するSF映画とかいうアンケートの際にも、名前を挙げたと思います。
 でも、はっきりいって単純きわまりないストーリーのC級映画。どうして好きなのか、自分でも理解できていませんでした。
 今回、久しぶりに見返して、その理由がわかりました。そして、ある意味、とんでもない傑作なのかもしれないと感じています。

 ストーリーは、土星探査の旅から帰還する途中、宇宙飛行士が謎の放射線(太陽フレアによる?)を浴びる。地球の病院に収容されたものの、肉体がドロドロと溶け始め、同時に、人間の血と肉をむさぼりたくなって、あたりをさ迷い歩く、というもの。
 怪奇映画にSF風味付けをしたものといってしまえばいいかもしれません。

 しかし、そのSF精神がただごとでない。大規模なパニックを目指すわけでもなく、とにかく、溶けてゆく宇宙飛行士の悲惨な道程を追い続けるのみなのです。で、まったく救いのない結末を迎える。
 「宇宙になんか出て行っても、ロクなことはありませんよ」と、言っているとしか思えません。これ、低予算でつくったニューウェーブSF映画だといえるんじゃないかな。やっぱり好きだし、ここまで徹底できたのは、凄いとしかいいようがない。

 原稿は8月末発売の〈SFマガジン〉に載る予定ですが、ごく短くしか紹介できないので、とりあえず、はみ出しそうな部分をここに書いておきました。



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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しみです (天野護堂)
2017-07-27 22:30:38
「溶解人間」恥ずかしながら偏見的な先入観で未見でした。機会があれば観たいと思います。御教示ありがとうございます。
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>天野護堂さま (森下一仁)
2017-07-28 09:02:15
C級であることは間違いないのですが、妙な魅力があるんですよね。
機会がありましたら、ぜひ。
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懐かしいです。 (高井 信)
2017-07-28 09:04:11
 人間が溶けていくシーンは強烈ですが、それ以外は退屈な映画だったなあという印象です。でも、森下さんの感想を読むと、ああ、なるほど、となりました。
 うちにビデオテープがあるので、観直してみようと思います。
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>高井信さま (森下一仁)
2017-07-28 10:09:47
見直されても、やっぱり――となるかも(^-^;
好みは人それぞれですからね。私は大好きなんですよ。
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ご返事、ありがとうございます。 (高井 信)
2017-07-28 19:44:41
 あー。ありますよねえ、そういう映画。
 最近、久しぶりに『ゾンビ特急地獄行き』を観たのですが、まさにそんな映画です。
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