ローマ五賢帝最初の皇帝ネルヴァは、
皇帝ネロの時代に法務官になります。
ネルヴァはネロよりも2歳年上。
もしネロが天寿を全うしていれば、
ネルヴァが皇帝になることはなかったでしょう。
ネロの死後、皇帝となったウェスパシアヌス帝と
息子のドミティアヌス帝の時代に、
ネルヴァは皇帝の同僚執政官に就任しました。
ドミティアヌス帝の暗殺後、元老院の決定で皇帝になります。
このときネルヴァは60代。
跡継ぎの男子のいなかったネルヴァは、
軍に支持されていたトラヤヌスを養子に迎えて後継者とし、
2年足らずでこの世を去りました。
名君と呼ばれたトラヤヌスの養父だったので
ネルヴァは五賢帝の一人として数えられるようになります。

ネルヴァの2年足らずの治世は必ずしも安定したものではなく、
トラヤヌスを後継者としたのも軍の意向に従っただけ、のようです。
どうやら実像は確固とした政治基盤を持たない
古参の元老院議員が皇帝に祭り上げられただけ、
ということになるようですが、
それでも、ショート・リリーフとしての役割を果たして
歴史に賢帝の名を残したのですから、
ネルヴァも、もって瞑すべしでしょう。
トラヤヌスが後継者でなければ、
凡百のローマ皇帝の一人にすぎない治世であった、というのは
ネルヴァにとって酷な評価なのかもしれませんが。
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