川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』(ちくま新書)を読む。

川本さんは人気サイト「ネットゲリラ」の管理人。
「2ちゃんねる」のスレッドを編集し、
冒頭にコメントを付けた記事が大半ですが、
カメラや料理といった趣味の話も織り交ぜられており、
読ませるワザは、さすが編集者です。
「編集者・官能小説家・写真家」として
ネット上に作り上げた個人雑誌の趣があります。
そんな作業は「昔取った杵柄」なんでしょうね。
川本さんが編集者としての経験を踏まえて
戦後ポルノ雑誌の歴史をまとめたのがこの本です。
概説的な「戦後昭和エロ本史」ですが、
川本さんの個人的な回想が適度に挿入され、
インサイダーのみが知る情報も入っています。
「インサイダーの証言」としての資料的価値もさることながら、
零細出版業界の実情を描くものとしても興味深く読みました。
「エロ本屋さん」というより「出版業界の人」の
バリエーションの一つとして見るのがいいでしょう。
私はこの本を梅田の紀伊国屋書店で買いましたが、
川本さんの儲けにするなら「ネットゲリラ」から
アマゾンにアクセスして注文した方がよかったかもしれませんね。
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