社民党 京都府連合 野崎靖仁 副主席語録
社会民主党 中央規律委員 野崎靖仁、55歳。
日々の思いを綴ります。
 



松本清張 『史観宰相論』(ちくま文庫)


「総理大臣でみる日本近現代史」といった内容。
大学生のとき、文春文庫版で読みました。

文春文庫版は古本屋でか入手できませんでしたが、
最近、ちくま文庫で刊行されたので紹介します。

初代内閣総理大臣は伊藤博文ですが、
実質的な初代宰相(首相)は大久保利通である、
と清張は論じています。

ちなみに、大久保利通の孫娘が嫁いだのが吉田茂。
吉田茂の孫が麻生太郎総理です。

簡単にいえば、麻生総理のご先祖様が大久保利通なのです。

清張は大久保の記述に紙数を割き、こう断言しています。

 だが、日本の宰相像はすべて大久保に発していると思う。
 大久保から歴代の宰相が延長していると思う。
 したがって、後の宰相は名前だけを挙げればいいようなものである。
 (文春文庫版 32~33頁)

大久保の路線は、伊藤博文と山県有朋の二人に受け継がれます。

◇伊藤博文:「富国」の面、開明主義・進歩路線を継承。
 財政・外交・政党政治に力を注ぐ。
 大隈重信、西園寺公望、原敬などがこの路線。

◇山県有朋:「強兵」の面、抑圧主義を継承。
 軍隊と警察による「治安」に力を注ぐ。
 内務官僚、検察官僚も山県の系統。
 松方正義、桂太郎、寺内正毅、田中義一などがこの路線。

この本では山県が「目白の大御所」と呼ばれて
畏怖されていたというエピソードも紹介されており、
「なんだか近似した例があって困る」(同66頁)と
清張自身も苦笑しているのも面白いところです。

若い読者のために補足しておくと、
戦後政治で「目白」といえば田中角栄を指します。
いつの世も政治の本質は変わらない、というところでしょうか。

総選挙後、社民党から首班を出す可能性も皆無とはいえませんから、
歴史に学ぶことは必要です。

歴史が苦手な人でもサクサク読み進めることができるので、
ぜひご一読ください。

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )