のそのそ日記

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トルコ大統領選・エルドアン氏再選の話

2023-06-01 13:19:42 | 日記

トルコの大統領選、現職エルドアン氏再選について。
ネットのポリタスTV配信で中東イスラム研究の内藤正典氏の対談形式インタビューを視聴しました。
選挙の状況や大統領の支持の理由、トルコの国内事情や中東・欧米との関係など、とても勉強になりました。
ざっと印象に残った点のメモ。

エルドアン支持者は貧困層の方が多い。
地方から都市部に流入し、無所有の国有地にバラックを建て住み着いていた人が都市住民の半数以上だった問題を解決
(バラックに土地登記を与えた後で、周辺に低所得者向けの住宅建設をゼネコンに委託(この経費はゼネコン持ち出し)その後バラック住民を住宅に移ってもらい、バラックの登記土地をゼネコンに低価格販売して建設代金をペイさせる手法。大都市周辺の国有地なので、ゼネコン側もウィンウィン)
高速道路の慢性的な超渋滞緩和
(4車線中2車線を、バス専用車線にすることで、車を持たない層の通勤手段を充実させる。中流以上のマイカー派から反対意見が出た際「1人1台の車より車を持たない大勢を優先させるべき」と却下する。→この物言いが石原元都知事のようとコメンテーターに言われたが「石原氏と逆なのは、富裕層を優遇しないでより手段を持たない貧困層を優先させた点」とのこと。)
経済問題(インフレ)
通貨のトルコ・リラはちゃんと流通しているけれど、社会情勢によって40~100%のインフレがしょっちゅうある。国民はその対応に金や米ドル、ユーロを箪笥貯金のように持ってインフレに対応している(街中で質屋のように手軽に換金できて、証明書や手数料も不要)
難民問題
シリア内戦で400万人の難民を受け入れた件。積極的に支援する訳ではなかったが、自国で迫害を受けたシリア人に軒を貸すのは断らなかった。その後難民130万人が欧州各国にいったが、それぞれの国(28カ国)が受け入れ可否で揉めて、各国の極右組織が肥大化した。人権意識については欧州に非難される謂れはないと大統領談。
ロシアウクライナ問題
一貫して100%ロシアに非があると主張、その上で中東地域に欠かせない小麦とガスをロシアとウクライナから購入(戦争異議申し立てと自国の損失回避は両立すべき、との見解で)トルコの国益を第一に主張している。その上で停戦仲介を模索、両国とも中東世界には大事な隣国なので敵対はしない方向。
LGBTQの接し方
大統領はじめトルコではそもそも理解していないらしい。ただの過激な政治主張と思われてる。イスラム社会のトルコで理解をしてもらうための手段を伝える側が勉強する必要あり。
クルド問題
エルドアン以前はクルド人の存在自体否定されていたが、国民として認める方向に進んでいる。ただし1国1国民が原則の憲法があるため自治区などの制定は考えていない。国内でのクルド人差別は存在する。今後の進展はまだ不明。

印象としてトルコという文化や民族の十字路で、大統領は基本的にイスラムの理念を宗教とは別の畑で実践しているように感じた。(弱者救済・他国の自主独立に介入しない)
やたらと政治に情緒を持ち込む日本人には共感しにくいかもしれないけれど、本来お役所仕事はそうあるべきものだったな。
日本での感情的なイスラム叩きの新聞やTVでは知りえない情報が盛りだくさんで、面白かった。ただ日本人のアナトリア無知がトサカにきすぎて問題をソフトに言ってしまってないかとは思うけど。
ところで、資産を持っている人が車など投資につぎ込んだりするので政府は規制している話。新車価格はメーカーが設定しているが、中古車がその倍の価格で売られているなどしているそうな。現金収入より投資で資産を作ろうとする話は、日本の転売ヤーを連想した。
転売が資産形成の手段の一つになってしまっていて、その場の法的な規制がぜんぜんできていないというのはかなりまずいなと思うよ○ルカリ。


■ポリタスTV 2023年5月31日19時「エルドアン大統領が再選|トルコ大統領選でエルドアン大統領が再選。再選でウクライナ停戦、シリア難民、クルド人の今後はどうなるのか専門家に聞く|ゲスト:内藤正典」

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