のそのそ日記

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世界の書割

2019-01-15 12:20:00 | ノンジャンル
 漫画家の宮尾岳氏のTwitterで、この40年の日本のアニメーションを観て感じた変化について書かれてました。

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作画レベルは本当に高くなった。これは絵の密度そのものと
「動きにあまりにもトホホな物が無くなった」だ。
昔なら劇場版レベルの作画が、TVで観られる。
これは本当に凄い。

演出も細かくなった。これは喜ばしいこと。

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逆に「レベルが落ちた」と感じる事。

【大人が描けなくなった】

これは、脚本 作画 両方かな。
描けなくなったのか
描きたくなくなったのかは分からないが……

【信頼に足る大人が描けない】と僕は感じてしまう。

この【大人】ってのは年齢が高いとかじゃなく

【色々な人生を生きてきた厚みが感じられない】のほう。

絵で年配って設定になってるだけで、中身がついてきていない。


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俗に言う「名作もの」は 原作が名作として認知されているとかはどうでもよく

絶対に忘れてはならぬ事は
【主人公はすでに大人によって確立された世界にいる】という事。

その世界の常識もその世界の偏見も それが確実に存在する世界で、悩み もがき 進む明日を探す。

子供の都合で出来ていない
ファンタジーは、そういう理屈が
「この子は特別なチカラを持っている」
で、全てをひっくり返す事が出来る諸刃の剣。便利だけど、使えば使うほど説得力は薄くなる。

それを圧倒的な作画力でカバーしたとしても 本質は変わらないと思う。

宮尾岳‏ @GAKUJIRA

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世界を描くっていうのはほんとに「なんで必要なの?」と言われてしまうと、さあ説明が長くなるけどいいかな!になってしまうんだけど、

世に織田信長のファンは多いけど、信長がもし現代の東京都民だったりしたら単に性格に難のある自意識過剰男でしかなくなりそうじゃろ。そんな事はない!自分は信長のファンだから!と言う人も、あくまで戦国武将のキャラが頭にあるからそう言えるのであって、その時代の環境の立場の信長がそもそもまったくなかったら惹かれる条件はなかろうかと。
その世界観の知識は、歴史家が長い時間かけて集めた資料と情報って土台の上にある訳じゃないすか。
小中学校の社会や歴史の教科書程度の知識だって全く無かったら、信長ファンなんて生まれなかったかと思うのよ。

 同じように今の社会を回している大人、または主人公世代を育てた大人、架空の世界の基盤になる空気を作っている人たちを、まるっと切り捨てて物語を作っても、それはえらい狭い世界なんじゃないのかな。
 ファンタジーにしても、こんなしんどい現実社会を描くのは面倒くさいから、まったく違う世界に転生して自分の意思を披露すればなにもかもうまくいくはず、にしてしまうと、同じようなもんもんを抱えている人たちにとってはスカッとするだろうけれど、成長や発見がなくて根拠のない優越だけが残ってしまうんじゃと心配です。

 アニメで物凄く擬似ゲームファンタジーが増えたはしりになった作品って「ログ・ホライズン」2013年あたりからだと思います。もしかしてなろう小説では山ほどあったのかもしれないけれど、そのへんはよく知らないもんで…

 アニメを見た時の感想が「ゲームのプレイをストーリーに丸投げしちゃった話、ゲームファンが嫌がらないかな」でした。
 ゲームだったらあっちで迷子こっちでリセットって経験値をあげていくところ、お話の中ではいきなりキャラが攻略本みたいなデジタルい板開いてふむとか言ってるし、作られた世界の箱庭のような狭さ、がなんかとても苦手だったのだ。
 でも一緒にみていたちゃまたちは「いや遊園地のおばけ屋敷は狭いとわかった上で楽しい、というか狭いから安心して楽しめるんだよ~」と言ってたので

物語(嘘話)の中で世界がどんなものかはどうでもよくて、要点をピックアップされたものを読むのが楽しい(恋愛とか勝利とか)のか…なるほど。

 おたく的にはばかりながら、それって本来二次創作の仕様だよね。

 原作を知ってる人にとっては共通認識の世界観の説明は野暮だからばさっと切り落としてしまうけど、だから読むには原則原作を履修してねって話。

 ゼロから始まる物語を描いたファンタジーのはずなのに「設定はみんなの知ってるゲームのアレね」で進めてしまうのがとても息苦しい。その世界の中では過去の時間が薄っぺらになり、未来への成長も予定調和以外存在しない。そんな物語はとてもしんどい。
コメント
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