久し振りの更新です。期間が空いた原因を言いますとダン・ブラウン『ロスト・シンボル』を読んでいました。全3巻と大ボリュームの傑作で是非紹介したいのですが、『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』を触れずにいきなり紹介するのはあまりにも不適切なので記事にしませんでした。なので読書をサボっていた訳ではなく、3冊分飛ばしたと思って頂ければと思います(これ誰に対して言ってるの?)
さて今回はSF歴史小説、恩田陸『ねじの回転FEBRUARY MOMENT』を紹介しちゃいます!
・不一致。再生を中断せよ。(上巻p.26より抜粋)
既に歴史として語られている史実を未来から介入して書き直すことが出来るようになった時代。人類は望んだ未来を手にする為に日本の二・二六事件に介入する。担当するジョンやマツモトたちは協力者として事件に関わりのある軍人と繋がる。史実をなぞるだけだったはずの「再生」が、史実と異なる道を辿るようになり…?
・「しょせん魔法など、人間には何の福音にもならないんだ」(下巻p.129より抜粋)
過去には存在しないはずの現代の伝染病が思いもよらぬ理由で蔓延してしまった。もう1度再生を開始して伝染病を「無かった」ことにしなければならない。では「どこから」再生し直せばいいのか?望む未来を手にするためにジョンやマツモトたちは再生を止めない。
・おススメポイント
① これぞSF
過去記事で同じような事を書いたような気がするのですが(確認すればいいのに)、SFらしさを感じさせる素晴らしい作品です。『バックトゥーザ・フューチャー』から『Re:ゼロから始まる異世界生活』まで古今東西津々浦々で愛される「過去を変えて現在(未来)を良いものにする」という「ありがち」なテーマを「ありがち」な感じにさせない技術は素晴らしいとしか言いようがありません。
② 挿入話を見逃すな!
またフラグメントやモノローグとしてストーリーに関わるが本筋にはあまり関係の無い挿入話がいくつか挟まれています。それらは意味ありげにストーリーに関わり、読み手を不思議な気分にさせてくれます。ある意味では作者の意図や気持ちを代弁するようなモノであると言えるかもしれません。
③ オチの良さ
これはネタバレになりかねないので詳細まで言えませんが、そもそも過去に介入出来るようになったのにはキッカケがあります。では過去に介入してそのキッカケを「無かった」ことにすればどうなるのか。これはこういうSFで「ありがち」な展開です。本筋ではこのことをそれほど問題に捉えてはいませんが2回目を読んだ私はこれに触れていることに気付きました。これは本当に絶妙です。
いかがでしょうか?もし興味が湧いたら是非読んで頂ければと思います。
それでは!
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