豪州帰りの「えりー」日記

メルボルンでの学生ワーホリ経験をシニカルに慎ましくご紹介。その経験を映像業界で活かしたり殺したりな趣味ブログ。

小説れびゅー的な③/恩田陸『光の帝国 常野物語』

2020-04-30 11:11:00 | 小説れびゅー
麗らかで過ごしやすい日々が続きますね。それもあって昨日は同期とランニングに出掛けて良い汗をかきました。今日は筋肉痛気味の「えりー」です。そろそろ別ジャンルの記事が書きたい(ネタがない)

第3回は恩田陸『光の帝国 常野物語』という短編集になります。これは私だけかもしれませんが、こういった短編集の方が読むのに時間がかかるんですよね。

え、何故かって?

そりゃ1つの短編を読み終える度に余韻に浸るからですよ。



…我ながらかなりキモチワルイことを言いましたが気持ちを切り替えてレビューしたいと思います…。

・「権力を持たず、群れず、常に在野の存在であれ。(p.247より抜粋)」
特徴と言えば、特別な能力を持ちながら密かに暮らしている常野の人々たちの今と昔を繋ぐような短編集と言うべきでしょうか。様々な立場から語られる不思議な「常野」の世界を体感出来る一冊です。

・おススメポイント①
「ファンタジー」
前回紹介した『六番目の小夜子』はホラーテイストなミステリですが、今回の『光の帝国 常野物語』はファンタジーです。青春やミステリなどで語られることの多い作家ですが、色々なジャンルで「らしさ」を感じさせてくれるが恩田陸の魅力ですね(ここだけ早口)

・おススメポイント②
「短編ごとの繋がり」
この短編集ではサブタイトルに「常野物語」とあるように各短編に繋がりが見られます。出来る限りスラスラ読むのではなく、のんびりと余韻を楽しみながら読むのがおススメです。

・おススメポイント③
「日常の中の異能力者」
文章で異能力者を表現するというのは下手すると幼稚で大味になりがちです。しかし常野物語においては私たちと同じように暮らす異能力者が巧みに表現されており、むしろ私たち以上に人間らしさを感じさせてくれるほどです。

以上になります。ちなみに続編として2冊ほど既刊されており、それらもいつか紹介出来ればと思います!

この連休中、少しばかり遠出する予定の方は無意識のうちに「裏返す」ことの無いようにお気をつけてお過ごし下さい。

それでは!

小説れびゅー的な②/恩田陸『六番目の小夜子』

2020-04-25 23:11:00 | 小説れびゅー
4月の終わりにも関わらず肌寒い日が続いていますね。寒いのはやっぱり苦手です、「えりー」です。

前回のレビューから2日しか経っておらず、ちゃんと読んだのか疑われそうですが、私は調子がいいと週2〜3冊読み切ってしまうタイプの人間なのでどうしようもないのです。皆さんがぼんやりとYouTubeを眺めているのと同じように私はぼんやりと本を読んでいます。

さて今回読んだのは私が1番好きな日本人作家であり、私が読書にハマったきっかけを作ってくださった恩田陸のデビュー作である『六番目の小夜子』です!




ちなみに私が読書にハマったきっかけとなったのは恩田陸『ドミノ』という作品です。いつかこれもレビュー出来ればと思います!では内容について解説します!

・「ーーあれが『お客さん』ですか(p.138)」
とある歴史ある高校で受け継がれるゲームに「サヨコ」という役割があり、そのゲームが行われる年に何の因果か偶然か過去の「サヨコ」と同姓同名の「津村沙世子」が転入してきます。当時転校生としててやってきた彼女は「サヨコ」なのか。そしてこのゲームは何のために存在するのか。そのゲームに巻き込まれながら生徒たちが限られた高校生活を謳歌するミステリでありながら青春ものでもある1冊です。

・おススメポイント①
「結局「サヨコ」は誰なのか?」
「サヨコ」はゲーム上での役割を示す言葉であり、「サヨコ」自体は存在していないことにないっています。しかしそれを否定出来ない出来事によって、「サヨコ」は存在しているのではないか?と不安を掻き立てるような展開になって面白いです。

・おススメポイント②
「思春期の心理描写」
不安を掻き立てる展開の裏では高校生らしい青春が描かれています。誰かが誰かに惹かれたり、迫り来る大学受験に憂鬱になったり、学生という存在に懐疑的になったり…。そういった思春期の表情を文字にするのが恩田陸の特徴であり、私が恩田陸の小説が好きな理由の1つでもあります。

・おススメポイント③
「音楽を聴きながら読んで欲しい…」
ネタバレになるので多くは語れませんが、p.165よりある劇が上映されます。小説内にもありますが、そのシーンになったら「エリック・サティ」の「ジムノペディ」を聴きながら読み進めて下さい。それはもうとてもたまりませんよ!(語彙力)

以上がレビューになります。興味があればぜひ読んでみて下さい!次回は来週中に!

それでは!

小説れびゅー的な①/東野圭吾『パラレルワールド・ラブストリー』

2020-04-22 23:11:00 | 小説れびゅー
どうも「えりー」です!遂に究極的自己満足企画「小説れびゅー的な」を始めることにしちゃいました!在宅することが多いこの状況だからこそ、在宅で出来る娯楽の1つである読書の良さを届ければと思います!

今回は東野圭吾の『パラレルワールド・ラブストーリー』についてのレビューになります。第1回に何故この作品を選んだのかと言いますとこの作品が積読本(読まないまま放置されていた本)だったからです。ネタバレや考察などは極力しないレビューになりますので気軽にご覧下さい!



さて今回読んだ『パラレルワールド・ラブストリー』ですが、この小説は皆さんの思うラブストリーではありません(いきなり何と!)そもそも東野圭吾の小説ですから純粋なラブストリーになるはずがありませんよね(これは失礼)では内容について解説します!

・「あっちはこっちのパラレルワールドなのかもしれないなーー。(p.12)」
主人公の敦賀崇史は同方向に並列して進む2本の電車の片方からもう片方の車内を見つめてそう思います。その意味深な言葉通りにストーリーは2人の崇史を中心に進んでいきます。1人は親友とその親友の彼女と3人で過ごす崇史、もう1人はその親友の彼女が自分の彼女になっている崇史。その相反するような世界で崇史は矛盾点を見つけ、そこから自分の身に何が起きたのかを解明するというストーリーです。

おススメポイント①
「どちらが現実なのか?」
崇史が混乱していたように、私も読んでいて混乱しました。果たしてどちらの世界が現実なのか…。その不気味で不安を掻き立てる展開がとても面白いです。

・ススメポイント②
「友情と恋に翻弄される」
皆さんの思うラブストーリーでありませんとややこしいことを言いましたが、恋愛が主題になっていることは確かです。しかし純愛と言うよりは友情が絡むドロっとしたものを想像しておいた方がいいかもしれません。人間の本質を鋭く描写する東野圭吾だからこそ書けるラブストーリーです。

以上がレビューになります。興味があればぜひ読んでみて下さい!次回からは好きな小説を読み直してレビューしようと思います!

それでは!

新人研修はテレワーク的な

2020-04-14 23:11:00 | 日記
『降りしきる雨。今日はずっと家に居ようと思う。すりガラスに映る緑に水滴が流れて、雨の音しか聞こえてこない。もしかしたら地球で私だけがこうして独り過ごしているのかもしれない。そんなはずはないのだけれど、そんなはずはないのだけれど。』

うちで過ごそう。5月6日まで在宅研修になってしまった「えりー」です。悠々自適にうちで過ごしています。



今回は特にこれと言った内容は無いのですが、何となく記事を書きたくなったので書いています。

『時より外から聞こえる車輪の音。水しぶきを上げて人が物が何処かへと向かう。こんな状況でも外で働き続けている人がいる。温かいコーヒーを啜りながらその人のことを想う。』

4月1日から在宅研修が始まり2週間が経とうとしています。研修内容は言えませんが、とにかくこの状況下で出来ることをやっているというような感じです。残り2週間もあると考えると少し憂鬱ですが、大学生と社会人の狭間の期間が延長されたと思って過ごすほかありません。

『変化のない日々と変化のない部屋でただ豆苗だけが成長して毎朝新しい顔を見せてくれている。この変化が私の糧だ。』

平日は2日に1回のペースで洗濯と買い物をし、その隔日に掃除や片付けをする。在宅研修の日々に慣れてしまい生まれた私のルーティンです。この日常になりつつある非日常に慣れてしまいました。

『世界のどこかで、東京のどこかで感染者が増えていく。そしてどこかの誰かが亡くなっていく。私はいつもそれを数字で知る。どこかの誰かの生きた証は「1」という数字で語られる。それはとてつもなく不気味でとてつもなく悲しい。』

先週までは憂鬱で課題にも気が進まなかったのですが、今週からは時間がある今だからこそ何かしようと前向きに色んなことをやろうと思います。その1つとして今回の記事を書いています。ブログという発信する手段を上手く利用して、何か始めようかないう気分です。

『連日誰かが誰かに文句を言っている。私はこの窮屈さに我慢出来なくなった人たちに同情する。文句を言えばその時は済むのだろうけど、後に残る虚無は何よりも苦しい。』

まだ机上の空論に過ぎませんが、読んだ小説のレビューなんてものを始めてみようかなと考えています。オーストラリアでワーキングホリデーしていた人間が書く小説のレビュー、読んでみたくありませんか?(ありませんか?)

『明日雨が止んで太陽が顔を覗かせていたら買い物に行こう。外の空気をたくさん吸って、すれ違う人々に心の中で挨拶をしよう。「おはようございます。大変な日々が続きますけど、頑張りましょうね。」

それでは!