豪州帰りの「えりー」日記

メルボルンでの学生ワーホリ経験をシニカルに慎ましくご紹介。その経験を映像業界で活かしたり殺したりな趣味ブログ。

小説れびゅー的な⑦/伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』

2020-05-29 11:11:00 | 小説れびゅー
非常事態宣言が解除され6月から在宅勤務から隔日出勤にランクアップしました。2ヶ月も在宅勤務をしていたので正直なところかなり楽しみです。それは合格した高校や大学に初めて登校する時のような期待と緊張に満ちていて、過ぎる景色全てが新鮮に映るのでしょう。

あのカフェ気になるなあ、みんなあのラーメン屋でお昼を食べるのだろうか、お、こんな所にいい感じの居酒屋が…

さて新連載!100日後に病む「えりー」です。もう誰もあのワニの話をしなくなってしまいましたね。好きの反対は無関心とはこのことでしょうか?

さて今回は伊坂幸太郎のデビュー作である『オーデュボンの祈り』を紹介したいと思います!


・「『ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ』」(p.69より抜粋)
主人公の伊藤は完全な孤島で目を覚ます。その名も「荻島」。その島には喋るカカシがいた!独特で味のあるキャラクターと関わりながら伊藤はこの島に欠けているものに気付いていくミステリです。

・おすすめポイント①
「原点」
やはりデビュー作とだけあって伊坂幸太郎の特徴が随所に感じ取れます。1つはユーモア溢れる奇想天外な世界観。何せカカシが喋ります。別の作品では車が喋ったりします(注:『ガソリン生活』)もう1つはメッセージ性の強さ。この作品では弱いですが、また別の作品では何が悪で何が正義かというような問いかけが読み取れます。

・おすすめポイント②
「驚きの伏線回収率」
些細な出来事までもを1つの線に結んでしまう展開を見せてくれるのが伊坂幸太郎の醍醐味の1つではないでしょうか。ボーッと読んでいたら損ですよ!

・おすすめポイント③
「個性的なキャラクター」
これは読んでみないと分かりませんが、登場するキャラクターが濃い。とにかく濃い。目立つような事をするという意味でのでは無く、濃いという事を自覚していない濃いです。キャラクターの濃さも伊坂幸太郎の魅力ですよね。何か濃い濃い書きすぎて濃いがゲシュタルト崩壊しました(何だこのキモい漢字…)

前回が1週間前ということもあり、読書ペースと投稿ペースは比例するみたいです。まあ気長にのんびりとやりますのでよろしくお願いしますね。
それでは!

小説れびゅー的な⑥/恩田陸『ネバーランド』

2020-05-22 11:11:00 | 小説れびゅー
急な梅雨入り?で冷え込む日々が続いていますね。寒いのは苦手なので5月なのに就寝前に暖房を入れています。鉄筋の1階の朝はとにかく冷え込むのでツラいです。

最寄りのコンビニの店員さんに顔を覚えられてしまった「えりー」です。いつか挨拶してみようと思います。

今回は恩田陸『ネバーランド』の紹介です。某少年誌の人気漫画ではありませんのでご注意を。

・既に俺たちは、日常と非日常の溶けたところに足を踏み入れているーー(p.56より抜粋)
家庭の事情により寮内で年を越すことになった3人と遊びに訪れる1人を合わせた4人の男子高校生たち。その生活は次第に絶妙な関係性を保ちながら互いの隠していた部分に触れ合い始める。4人の「告白」は4人に何をもたらすのかという青春群像劇です。ドロッとしてそうですがかなり爽やかです。

・おススメポイント①
「友人と過ごす日々」
修学旅行であったり、友人たちとの旅行であったり、とにかく家族以外の誰かと共に夜を過ごす。あの時間を思い出してみて下さい。何というか恥ずかしいような、解放されているようなそういう記憶を呼び覚ます雰囲気がこの作品にはあります。別に言わなくていい事を言ってしまったり、言えなくて苦しかった事を言って楽になったり、そんなステキな空間が詰まった作品です。

・おススメポイント②
「隠し味はホラー」
普段は沢山の生徒が寝泊まりしている寮に4人(3人)の数人で過ごす世界を想像してみれば1つや2つの怖い体験ぐらいあると思います。友人しか居ない世界だからこそ感じる頼りなさが後味に響きます。

『夜のピクニック』といい『ロミオとロミオは永遠に』といい恩田陸の描く「学園もの」キャラが立って魅力的でどこか思春期を匂わせていて大人ぶっていて好きです。『夜のピクニック』もいつか紹介するつもりです。他にも「学園もの」はありますが次は別ジャンルを読もうと思いますのでお楽しみに。
それでは!

小説れびゅー的な⑤/森見登美彦『夜は短かし歩けよ乙女』

2020-05-17 11:11:00 | 小説れびゅー
寒いです。雨が降りしきる日は大変冷え込み、冬服をダンボールにぶち込んで封をした私を困らせるのです。捨てようか捨てまいか迷っているニットを着てやり過ごしました。

さて今回は森見登美彦『夜は短かし歩けよ乙女』です。劇場版アニメーション化されるほどの名作です。そんな名作を語るのは戦々恐々ですが、有名人でも何でもないので好きにやらせて頂きます。


・「夜は短かし歩けよ乙女」(p.65より抜粋)
京都を舞台に典型的な自堕落な学生を送る「私」とその「私」が恋心を寄せている「彼女」の2人の目線からストーリーが展開するラブコメ的フィクション作品です。森見登美彦の独特な言い回しが小気味良く、2人の関係がどうなっていくのか目が離せません。

おススメポイント①
「京都が舞台」
京都の大学に通ってはいませんでしたが京都には何度も訪れたことがあり、作中で登場する先斗町や下鴨神社など知っている場所が登場するのは親近感が湧きます。フィクションなのにノンフィクションのような錯覚を覚えます。

おススメポイント②
「私と彼女」
同じ出来事を2人の目線から描くという展開で、そのために2人が出会うことがあればすれ違うこともあります。そうやって重なる「奇遇」はいつしか「運命」という甘美な響きを持って錯覚から実感へと変わっていくのです(ステキ!)

こういう充実したラブコメを読むと「こんなステキな出会い方をしたい!」乙女チックに目をキラキラさせてしまうものです。そして最近マッチングアプリで出会いを済ませてしまおうとする私に落胆するのです。そんな即物的な恋愛で良いのか?と頭を悩ませるべきなのでしょうが、これはこれそれはそれ、と最新のクーラー顔負けの速度で冷めてしまうのです

何度読んでも深い幸福感に包まれるこの『夜は短かし歩けよ乙女』、不思議で笑える京都のひと幕に酔いしれては如何でしょうか?

もう1度読みたい、そしてレビューとして広めたい小説がまだまだあるのは困ったことのようで大変幸せなものですね。全部出来るかどうかわかりませんが、出来るところまでやっていくつもりです!
それでは!

マッチングアプリをやってみた的な

2020-05-13 11:11:00 | 日記
暑いです。冬と同じくらい苦手な夏が近付いてきました。エアコンのフィルターを掃除したので準備は万端です。猛暑日よ、かかってこい。

待ちに待った配属が決まりそうな「えりー」です。配属が決まっても在宅なんですけどね。

そう言えば全国民に配布されると噂の布マスク2枚はいつ届くんですかね?届く前に収束しちゃったりして?(それはそれで嬉しい)

さて今回は何とマッチングアプリをやってみたという(個人的に)大胆な記事になります!

1.いきさつ
これは上京する前のこと、

バイト先の後輩
「えりーさん!東京行くならマッチングアプリやった方が良いですよ!」

「え?何でよ?」

バイト先の後輩
「東京は会員数が桁違いですから!」

そして上京後、大学からの友人と、

友人
「暇つぶしにマッチングアプリええで」

「え?何でよ?」

友人
「知らん人から『いいね』がくると自己肯定感が意味もなく上がるんや

これは何だか健康に良さそう!と、青汁とか購入しちゃいそうなチョロさでマッチングアプリをインストールしました。ちなみに今回始めてみたのは「タッ◯ル」です。


2.やってみた
やると言ってもそこまで真剣にやるつもりは無かったので写真は上半身が映った1枚で勝負。プロフィールはそれなりに埋めて対戦よろしくお願いします。
これがマイページ。偽名でやってます(友人がその方がいいと言うので)スコアはメッセージのやりとり如何で増減するそうです。

その結果、アプリ開始1日目から3日目まではマッチング出来ましたが4日目からはマッチングせず、5日目に至っては『いいかも』が来ず。結局8人の方とマッチング出来ましたが、課金しないとメッセージが送れないので何も始まらないまま終了です(貰ったメッセージさえ見れない)

貰った『いいかも』の総数はこちら!

結構貰えましたが『もらったいいかも』からマッチングしたのは2人だけでした。

3.ノーマネーノーチャンス
無課金でも利用出来ますが毎日最大20人に送れる『いいかも』か、チャンスタイムで30分間30人に送れる『いいかも』以外男性側から出来ることはありません。

そもそも課金しなければメッセージ交換が出来ませんし、相手のメッセージすら読むことが出来ません。ただただマッチングしたという結果だけが残り、始めのうちは自己肯定感が高まりましたが今では「何なんだこれ」と不思議な気持ちになりました。なんせ存在するかどうか分からない女性とマッチングしただけですから。

4.というわけで
マッチングアプリのあれこれを理解したような気がするので、「タッ◯ル」は退会して別のマッチングアプリを課金して始めてみようかなと思います!なぜ退会するのかと言うとやはり最初の3日間の好調ぶりが記憶に新しいからです!

そのうち課金した結果を記事に出来ればと思います!
それでは!

小説れびゅー的な④/恩田陸『ロミオとロミオは永遠に(上・下)

2020-05-10 11:11:00 | 小説れびゅー
遂に私のサッカー愛が爆発してしまいAmazonでサッカーボールを購入しました。5月は独りでもみんなでもボールを蹴ってはボールを追いかけ犬のようにボールに夢中になります。わんわん。

そろそろ出社したい。本当に社会人なのか自信が無くなってきた「えりー」です。こんな状況ですが給料はちゃんと振り込まれていました。

第4回は恩田陸『ロミオとロミオは永遠に(上・下)』になります。全700ページに渡る超絶SFでありながら強いメッセージ性を持つ個人的に大好きな作品です。大好きな作品をレビューするのはとても緊張しますね(知らんがな)





・なんという連中なんだ、ここはなんという世界なんだ。(上巻p.47より抜粋)
主人公のアキラは過酷な試験を突破し「大東京学園」への入学を果たす。そんな彼らの学園生活は実学中心の地上と娯楽に満ちた地下の二面性を持っていた。その世界でアキラは学園内で行方不明になった兄の足跡を探すために「新宿クラス」の生徒たちと繋がるが…。

・二十世紀。これが二十世紀なのだ。(下巻p.313より抜粋)
「成仏する」それはこの学園で囁かれる卒業に似た学園を去る方法。卒業への目的を失ったシゲルはアキラとキョウコと共に「成仏する」を密かに目指す。アキラは「新宿クラス」の生徒と共に脱出を図る。彼らは新地球注目の大東京オリンピックで何を起こすのか…。

・おススメポイント①
「圧倒的ボリュームのSF」
こういうの書ける人って普段何を考えているんでしょうね(※最高級の賛辞です)文字にされた世界を想像するという読書の1つの楽しみ方がとても合う作品です。何がとは言えませんが、東京に住み始めたお陰でこの作品がさらに楽しめました。

・おススメポイント
「20世紀へのノスタルジア」
ひとつの時代、私たちが産まれる前のバブル時代。「あの頃は良かった」そう言いたげなようにバブル時代の残滓が散りばめられています。娯楽は害悪だと言う世界観で存在感を示す懐かしの言葉たち(産まれる前ですが)が最初はちぐはぐな感じを与えるかもしれませんが、次第に確かなリスペクトを感じさせてくれます。

・おススメポイント③
「何故彼らは『成仏する』のか」
支配と制限、しかし将来は約束されている。そんな環境から抜け出して将来を自らの手で切り拓く。極めて暗示的ではありますが、そのような意思を感じました。何故彼らは約束された運命に抗うのか。彼らの意思を感じとってみて下さい!

魅力たっぷりのこの作品、正直言って浦沢直樹『20世紀少年』と肩を並べられる程の80's〜90'sリスペクトのSF作品なんですが、驚くほどに知名度が低い!(どうして?)みんな読んで!広めて!(懇願)

最後にもしこの作品を映像化(SF過ぎて不可能かも)するのであれば、エンディングにはローリングストーンズ『ドント・ストップ』を流したいですね(何となくそう思うんです)

それでは!ラブアンドピース!