北東ヨーロッパの考古学

カマ川・ヴャトカ川周辺地方から北、ヴィチェグダ川からペチョラ川にかけての考古学本。

◆ПАМЯТНИКИ ЭПОХА КАМНЯ,РАННЕГО МЕТАЛЛА И СРЕДНЕВЕКОВЬЯ ЕВРОПЕЙСКОГО СЕВЕРО-ВОСТОКА
:石器時代、初期金属器時代、古代における北東ヨーロッパの諸遺跡
スィクティフカル 2005


ヴィチェグダ川上流、ムィエルディノ遺跡出土の青銅製遺物(一千年紀前半)

ヴォルガ=ブルガールの影響がカマ川上流の古コミ=ぺルミャクに及んでいた頃、
その北のヴィチェグダ川流域には後のコミ=ズィリエンにつながるヴィム文化が
広がっていました(図中で三角印が集中しているのがヴィチェグダ川)。

白海に注ぐ北ドヴィナ川は、西南から流れてくるスホナ川、北東から流れてくる
ヴィチェグダ川とT字の形をなしていますが、その頭の横棒の部分、
ベロオーゼロ、ヴォログダ方面からスホナ川を辿り、さらにヴィチェグダ川を遡るコースは、
ノヴゴロドをはじめルーシ諸侯が豊富な毛皮資源を求めて進出した道のりでもあります。
その先にはペチョラ川、さらにウラルを越えてオビ川下流地域に至るユグラの地が
広がっていました。

現在、ヴィチェグダ川からウラルに至る地域はコミ=ズィリエンの国、コミ共和国が
広がっています。といってもコミ人の人口比は全体の1/4程ですが。

このコミ共和国、学術系に力を入れているのかどうかはわかりませんが、
結構考古学関係の文献が手に入ります。鉱物資源とかでお金が豊富なんですかね。
4,50ページほどの小冊子で考古学モノのシリーズが出ていたりもします。

本書はそんなコミ共和国にあってヴィチェグダ川の遺跡にフォーカスして最新の調査結果を
まとめたものです。扱っているのは石器時代からとなっていますが、
やはり見ていて楽しいのは一千年紀前半の動物意匠。
鉄器時代に入るとカマ川地方のアナニノ文化の影響がここにも及び、
ペルミ様式とも言える動物意匠が見られるようになります。

カマ川地方のものにはユニークで美しいものも数多いのですが
本書に掲載されているのはスケッチ担当のやる気が足りないのかそもそも
ほんとうにそんな感じなのか判断に迷う”ユニーク”(笑)なもの。

上記のは一番まともで本書の表紙も飾っているものですが、以下のは如何なものかと。



8はなんかもう「ヴィチェグダのモゲ太」もしくは「カーバンクル」ということでひとつ。
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