北ユーラシアの歴史
貂主の国
把瑠都、十両優勝
エストニア出身の21歳、把瑠都が十両優勝
モンゴル勢の頂上決戦の前に霞みがちですが、我が北ユーラシアにも
大きなニュースが。
実に43年ぶりの十両全勝優勝を決めて、ついに幕内入り決定です。
まだ未見ですが、十両力士としては初のCM出演も果たすなど、現在急上昇中の把瑠都。
今後も目が離せません。
モンゴル勢の頂上決戦の前に霞みがちですが、我が北ユーラシアにも
大きなニュースが。
実に43年ぶりの十両全勝優勝を決めて、ついに幕内入り決定です。
まだ未見ですが、十両力士としては初のCM出演も果たすなど、現在急上昇中の把瑠都。
今後も目が離せません。
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荒川静香とツラン
がらんどうさんのBlog「同語反復」の「荒川静香とオリエンタリズム」を読んで、あの金メダルの
テーマ曲「トゥーランドット」がツランと深い関係にあることを知ってちょっとびっくりしています。
目から鱗。
そこで紹介されている「トゥーランドット物語の起源」を読むと、
「皇帝アルトゥン汗の娘トゥランドクト」
「チベット王子」
「タタール・ノガイ族の長だったティムルタシュ、彼の息子カラフ」
と、草原の歴史好きには聞き流せない名詞が並んでますね~
「トゥーランドットはアルタンハーンの娘を題材にした物語である!」
とかいうことだと、アルタイ山脈方面つながりで当「貂主の国」と
つながりなしとは言えなくなってきますね(牽強付会だ)。
いや、どっちかというとウプサ=ノール(湖)周辺に国を興したアルティン=ツァーリ(汗)の
方かも。ロシアと初めて国交を開いたということで名前も通っていたことでしょうし。
それはさておき、同時に取り上げられている「日本はツラン同盟結成を打ち立てよ 」
というサイトには驚きましたが・・・(^^;;
これについてはまた別途。
テーマ曲「トゥーランドット」がツランと深い関係にあることを知ってちょっとびっくりしています。
目から鱗。
そこで紹介されている「トゥーランドット物語の起源」を読むと、
「皇帝アルトゥン汗の娘トゥランドクト」
「チベット王子」
「タタール・ノガイ族の長だったティムルタシュ、彼の息子カラフ」
と、草原の歴史好きには聞き流せない名詞が並んでますね~
「トゥーランドットはアルタンハーンの娘を題材にした物語である!」
とかいうことだと、アルタイ山脈方面つながりで当「貂主の国」と
つながりなしとは言えなくなってきますね(牽強付会だ)。
いや、どっちかというとウプサ=ノール(湖)周辺に国を興したアルティン=ツァーリ(汗)の
方かも。ロシアと初めて国交を開いたということで名前も通っていたことでしょうし。
それはさておき、同時に取り上げられている「日本はツラン同盟結成を打ち立てよ 」
というサイトには驚きましたが・・・(^^;;
これについてはまた別途。
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ヴォルガ=ブルガールの立地条件
馬頭さんのブログでヴォルガ=ブルガールについて触れられているのでこちらでも一席。
ウラル山脈の東西に広がる広大な北ユーラシア世界は、その気候帯分布が緯度にほぼ
平行に並んでおり、東西方向に同じような環境が帯のように延びているのが特徴です。
対して東シベリアでは山脈、高地、バイカル湖などがあってもっと複雑な様相を呈しています。
時代がだいぶ遡ってしまいますが、旧石器時代、最終氷期以前の温暖な時期の植生分布を見てもそのことがうかがえるかと思います。
そうした環境故に、同じ環境帯を通って同様の文化が東西方向に拡散するという基層的な
条件の上にヴォルガ川、オビ川、イルティシ川といった大河川が南北方向の文化交流を促す、
というのがウラルを挟んで「ヨーロッパ・ロシア北東部」から「西シベリア」に至る、
「西」北ユーラシア世界とも言うべきの基本的な枠組みになっています。
ヴォルガ=ブルガールはそのような西・北ユーラシア世界にあって森林地帯・ステップ地帯の
境界域に位置し、さらにそこにヴォルガ川が交差するという
非常に重要なポジションを占めていました。
タイガ地帯の動脈ともいえるカマ川も合流していてさらに重要性を高めています。
当然そうした地政学的な優位性はヴォルガ=ブルガールに至って始まったものではなく、
古く石器時代からこの地帯は文化的に重要な地域であったことがわかっています。
あるときは黒海・アゾフ海方面からの文化をウラルの東に伝え、またあるときは南から及んできた
印欧系諸族(イラン系)の影響を北の文化と混淆させてさらに周辺に伝播させる
拠点となるなどしており、
石器時代からモンゴル後裔諸政権の一つであるカザン=ハン国に至るまで
この土地の重要性は途切れることがありませんでした。
※同様に環境的境界域+大河の組合せということではキエフを挙げる事ができます。
この地がルーシの成立と発展に果たした役割は論じるまでもないと思います。
政治的な条件があったとはいえ、この土地に往時のイスラム文明が根を下ろすのは
歴史的・地政学的必然であったといえます。
※キエフでは正教を受容していますね。この両者の双生児のような関係は
もっと意識されてよいのではないかと思います。
ブルガールの地に定着した工芸技術によって様々な商品が産み出され、先史以来の
交易ネットワークに乗って北方世界に拡散していきました。
北はカマ川~北ドヴィナ川を経由して北極海沿岸地方まで、東は河川沿いに
ウラルを越えてウラル東麓地帯を経由してオビ川、イルティシ川沿いに
やはり北極海沿岸地方までヴォルガ=ブルガールの影響が及びます。
ペルミ地方にはブルガールとオビ川流域地帯との交易を仲介する勢力もあり、
北の信仰世界が必要とする偶像等のニーズを踏まえてそれを充たした製品を
作るようにブルガール商人に働きかけていた、ということもあるようです。
またシベリア年代記などを見れば、オビ川沿いに成立した諸王国の王族の名前に
イスラム世界風・トルコ風の名前を数多く見ることができますが、これなどもイスラムを
受容したかどうかはともかく、ブルガールの文化的影響が強かったことを示唆しています。
実際、こうした諸王国にヴォルガ=ブルガールから持ち込まれた様々な銀製品を元に
エルミタージュ美術館で「オビの至宝」展が開催されたこともあったようです。
※"ルーシ世界”は、モンゴル帝国期後を経てやがてロシア帝国へと成長し、
現在まで存続し続けることができたために取り上げられることが多いのですが
(西欧史が連綿と重要な地域であったかのような扱いを受けているのと同じだと思ってます(^^;;)
同様に「ヴォルガ=ブルガール世界」とでも呼ぶべき状況がウラル東西に広がっていた、
と考えてもよいのではないでしょうか。
ヴォルガ=ブルガール地方はモンゴル期後、カザン=ハン国となり、やがてロシア帝国に
併呑されてしまいます。その後も往時のヴォルガ=ブルガール世界であった周辺の
北方諸族(ウドムルト、マリ、モルドヴァ等)への文化的影響はかえって強くなり、
イスラム教への改宗増加にロシア帝国は頭を痛めることになります。
ロシアにおける「東方問題」とは往時の「ヴォルガ=ブルガール世界」が
近世に入ってもなお無視できない影響を及ぼしていたことの現われでは
ないかとさえ思ってしまうのですが、これは少々言いすぎでしょうか。
◆関連記事:
北方世界とヴォルガブルガール(1)とりまく者たち
北方世界とヴォルガブルガール(2)イブン=ファドラーンと北方世界
北方世界とヴォルガブルガール(3)フィン=ウゴル諸族と交易路
北方世界とヴォルガ=ブルガール(4)ブルガールについて
ウラル山脈の東西に広がる広大な北ユーラシア世界は、その気候帯分布が緯度にほぼ
平行に並んでおり、東西方向に同じような環境が帯のように延びているのが特徴です。
対して東シベリアでは山脈、高地、バイカル湖などがあってもっと複雑な様相を呈しています。
時代がだいぶ遡ってしまいますが、旧石器時代、最終氷期以前の温暖な時期の植生分布を見てもそのことがうかがえるかと思います。
そうした環境故に、同じ環境帯を通って同様の文化が東西方向に拡散するという基層的な
条件の上にヴォルガ川、オビ川、イルティシ川といった大河川が南北方向の文化交流を促す、
というのがウラルを挟んで「ヨーロッパ・ロシア北東部」から「西シベリア」に至る、
「西」北ユーラシア世界とも言うべきの基本的な枠組みになっています。
ヴォルガ=ブルガールはそのような西・北ユーラシア世界にあって森林地帯・ステップ地帯の
境界域に位置し、さらにそこにヴォルガ川が交差するという
非常に重要なポジションを占めていました。
タイガ地帯の動脈ともいえるカマ川も合流していてさらに重要性を高めています。
当然そうした地政学的な優位性はヴォルガ=ブルガールに至って始まったものではなく、
古く石器時代からこの地帯は文化的に重要な地域であったことがわかっています。
あるときは黒海・アゾフ海方面からの文化をウラルの東に伝え、またあるときは南から及んできた
印欧系諸族(イラン系)の影響を北の文化と混淆させてさらに周辺に伝播させる
拠点となるなどしており、
石器時代からモンゴル後裔諸政権の一つであるカザン=ハン国に至るまで
この土地の重要性は途切れることがありませんでした。
※同様に環境的境界域+大河の組合せということではキエフを挙げる事ができます。
この地がルーシの成立と発展に果たした役割は論じるまでもないと思います。
政治的な条件があったとはいえ、この土地に往時のイスラム文明が根を下ろすのは
歴史的・地政学的必然であったといえます。
※キエフでは正教を受容していますね。この両者の双生児のような関係は
もっと意識されてよいのではないかと思います。
ブルガールの地に定着した工芸技術によって様々な商品が産み出され、先史以来の
交易ネットワークに乗って北方世界に拡散していきました。
北はカマ川~北ドヴィナ川を経由して北極海沿岸地方まで、東は河川沿いに
ウラルを越えてウラル東麓地帯を経由してオビ川、イルティシ川沿いに
やはり北極海沿岸地方までヴォルガ=ブルガールの影響が及びます。
ペルミ地方にはブルガールとオビ川流域地帯との交易を仲介する勢力もあり、
北の信仰世界が必要とする偶像等のニーズを踏まえてそれを充たした製品を
作るようにブルガール商人に働きかけていた、ということもあるようです。
またシベリア年代記などを見れば、オビ川沿いに成立した諸王国の王族の名前に
イスラム世界風・トルコ風の名前を数多く見ることができますが、これなどもイスラムを
受容したかどうかはともかく、ブルガールの文化的影響が強かったことを示唆しています。
実際、こうした諸王国にヴォルガ=ブルガールから持ち込まれた様々な銀製品を元に
エルミタージュ美術館で「オビの至宝」展が開催されたこともあったようです。
※"ルーシ世界”は、モンゴル帝国期後を経てやがてロシア帝国へと成長し、
現在まで存続し続けることができたために取り上げられることが多いのですが
(西欧史が連綿と重要な地域であったかのような扱いを受けているのと同じだと思ってます(^^;;)
同様に「ヴォルガ=ブルガール世界」とでも呼ぶべき状況がウラル東西に広がっていた、
と考えてもよいのではないでしょうか。
ヴォルガ=ブルガール地方はモンゴル期後、カザン=ハン国となり、やがてロシア帝国に
併呑されてしまいます。その後も往時のヴォルガ=ブルガール世界であった周辺の
北方諸族(ウドムルト、マリ、モルドヴァ等)への文化的影響はかえって強くなり、
イスラム教への改宗増加にロシア帝国は頭を痛めることになります。
ロシアにおける「東方問題」とは往時の「ヴォルガ=ブルガール世界」が
近世に入ってもなお無視できない影響を及ぼしていたことの現われでは
ないかとさえ思ってしまうのですが、これは少々言いすぎでしょうか。
◆関連記事:
北方世界とヴォルガブルガール(1)とりまく者たち
北方世界とヴォルガブルガール(2)イブン=ファドラーンと北方世界
北方世界とヴォルガブルガール(3)フィン=ウゴル諸族と交易路
北方世界とヴォルガ=ブルガール(4)ブルガールについて
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フィンランドな映画、日本上陸中
もうすぐ春だなぁ、などと冬の最後っぽい寒さを味わう今日この頃。
北ユーラシアはスカンディナヴィアから立て続けに2本も映画が上陸ですよ。
いやいや、ぼーっとしてると世間では思いもかけないことが起きてて、
しかも知らないうちに終わってしまうわけですが、気がついてよかった・・・
一つは「ククーシュカ~ラップランドの妖精~」
公式サイト
紹介サイト@ムービーネット
フィンランド映画、即ちフィン人の出てくる映画(違)ってことなら
カウリスマキ監督でおなじみだったりするんですが、この映画、
サーミ女性が主人公
です。設定上だけでなく、女優さん自身もサーミ人。
世界初、ってことはないかもしれませんがこれはかなり貴重なのではないかと。
北方民族好きにとってこれは見逃せない(^^;;
映画の中にはサーミの風習も織り込まれているようですし、
公式サイトにある「一言でサーミ人といっても様々な部族があるため、
撮影時には監督とプロダクション・デザイナーによって特定の部族の
カラーが突出しすぎないように、という方針が立てられた」という文言から
「わかってる」作りになっていそう、という期待感が高まります。
あの派手できれいな民族衣装をはじめ、サーミの文化がどれだけ織り込まれているか
(というのが目的じゃないので淡々と、でしょうが)
見に行くのが楽しみです。
映画自体ももちろん、楽しみですよ。
映画の話を調べていて「北極星を真上に見上げて」(by みほこさん)というブログで興味深い
こぼれ話が。少しずつではあっても世間のサーミへの興味は広がっているのでしょうか。
ひょっとしてサーミのプチブームが来たり・・・しないか(^^;;
サーミの少女達 帽子@スウェーデンのサーミ
網の手入れ@ウツヨキ
(いずれも「Finno-Ugric Folk Art」より)
で、ブログを見ていて知ったもう一つの映画が「かもめ食堂」。
公式サイト
オフィシャルブログ
ヘルシンキにおにぎりが、そして言っちゃぁなんですがフィンランドの澄んだ景色の中に置くには
違和感のある3人が(あの写真はわざとやっている・・としか)出てくる映画。
#日本の風景の中に置いてもインパクトありますが>3人組
原作は群よう子。
こちらもどんな映画になるのか、楽しみですね。
そして・・・
カウリスマキの映画もいずれ上陸する模様。
FINLAND THIS WEEK
北ユーラシアはスカンディナヴィアから立て続けに2本も映画が上陸ですよ。
いやいや、ぼーっとしてると世間では思いもかけないことが起きてて、
しかも知らないうちに終わってしまうわけですが、気がついてよかった・・・
一つは「ククーシュカ~ラップランドの妖精~」
公式サイト
紹介サイト@ムービーネット
フィンランド映画、即ちフィン人の出てくる映画(違)ってことなら
カウリスマキ監督でおなじみだったりするんですが、この映画、
サーミ女性が主人公
です。設定上だけでなく、女優さん自身もサーミ人。
世界初、ってことはないかもしれませんがこれはかなり貴重なのではないかと。
北方民族好きにとってこれは見逃せない(^^;;
映画の中にはサーミの風習も織り込まれているようですし、
公式サイトにある「一言でサーミ人といっても様々な部族があるため、
撮影時には監督とプロダクション・デザイナーによって特定の部族の
カラーが突出しすぎないように、という方針が立てられた」という文言から
「わかってる」作りになっていそう、という期待感が高まります。
あの派手できれいな民族衣装をはじめ、サーミの文化がどれだけ織り込まれているか
(というのが目的じゃないので淡々と、でしょうが)
見に行くのが楽しみです。
映画自体ももちろん、楽しみですよ。
映画の話を調べていて「北極星を真上に見上げて」(by みほこさん)というブログで興味深い
こぼれ話が。少しずつではあっても世間のサーミへの興味は広がっているのでしょうか。
ひょっとしてサーミのプチブームが来たり・・・しないか(^^;;
サーミの少女達 帽子@スウェーデンのサーミ
網の手入れ@ウツヨキ
(いずれも「Finno-Ugric Folk Art」より)
で、ブログを見ていて知ったもう一つの映画が「かもめ食堂」。
公式サイト
オフィシャルブログ
ヘルシンキにおにぎりが、そして言っちゃぁなんですがフィンランドの澄んだ景色の中に置くには
違和感のある3人が(あの写真はわざとやっている・・としか)出てくる映画。
#日本の風景の中に置いてもインパクトありますが>3人組
原作は群よう子。
こちらもどんな映画になるのか、楽しみですね。
そして・・・
カウリスマキの映画もいずれ上陸する模様。
FINLAND THIS WEEK
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