Mey yeux sont pleins de nuits...

読書、映像・音楽の鑑賞の記録など

マノエル・ド・オリヴェイラ『永遠の語らい』

2007-04-09 00:10:25 | 映画
 ポルトガルのリスボンからインドのボンベイへと向かう豪華客船の旅。歴史学者のローザ・マリアはボンベイで夫と落ち合い、そのままヴァカンスを過ごすために娘のマリア・ジョアナとともに乗船したのだった。船は途中、マルセイユ、ナポリ、アテネ、イスタンブール、ポートサイドに寄港し、そのたびに書物で学んだことを自分の目で確かめるために歴史学者は娘を連れて地中海周辺に栄えた文明の跡を訪ねる。  大航海時代のエンリケ王子の記念像、ギリシア人が始めて西欧に文明をもたらした場所、ポンペイの廃墟、アクロポリスとデュオニソス劇場、ギザのピラミッド、聖ソフィア大聖堂など、諸文明、諸国家の興亡が母娘の会話のなかで語られていく。  そして船が寄港するたびにさまざまな人々が乗りこんでくる。フランス人の実業家、イタリア人の元モデル、ギリシア人の女優という三人は、なかでもポーランド系アメリカ人の船長の賓客として夜毎、食卓を囲む。  四人の会話はそれぞれの人生をその背景となるそれぞれの国の現代史や文化と重ね合わせながら語るというもので、話題はいつしか現代文明の抱える諸問題とあるべき未来へと進んでいく。四人はそれぞれの母語で優雅に語り合う。 . . . Read more