Mey yeux sont pleins de nuits...

読書、映像・音楽の鑑賞の記録など

2009年に聴いた音楽(ハイドン)

2010-01-03 23:33:11 | 音楽
 昨年はハイドンの没後200年で、しかもメンデルスゾーンの生誕200年だった。それであれこれと聴いたりして、それぞれの作曲家の魅力を再認識したり、さまざまな演奏家の魅力を発見したりした。  ハイドンについては、とりあえず交響曲と弦楽四重奏曲とピアノ・ソナタを中心に聴いた。まずは家にあるものをしっかりと聴き直そうと思って聴いていたので、新たに購入したのは一組だけだった。但し買う予定でまだ買っていないものもある。Brilliant Classicsから出ているエステルハージ・アンサンブルによるバリトン三重奏曲全集がそれで、BSでこの曲の演奏を視聴し、心惹かれたのだった。 . . . Read more

岡田暁生『音楽の聴き方』 2補遺 ~ ブラームスの交響曲第4番を聴き比べる

2009-08-20 00:49:11 | 音楽
   岡田暁生の『音楽の聴き方』の補遺として、ブラームスの交響曲第4番をトスカニーニとフルトヴェングラーの演奏で聴き比べてみた。トスカニーニは52年のフィルハーモニア管との演奏で、爆竹のノイズの入ったもの(TESTAMENT)、フルトヴェングラーは49年のベルリン・フィルとの演奏(TAHRA)で、ともにライブ録音となっている。同書で紹介されているアドルノによる両者の演奏評で指摘されている2点を主な比較のポイントとして聴く。 . . . Read more

カシュカシアンが歌う

2008-03-02 22:37:39 | 音楽
 カシュカシアンによるスペインとアルゼンチンの歌曲集、といっても、この世界的なヴィオラ奏者が歌手に転向したわけではない。スペインとアルゼンチンの作曲家たち(ファリャ、グラナドス、ヒナステラ、モンサルヴァーチェ、グァスタビーノら)が書いた歌曲を人間の声に近い楽器、ヴィオラで歌ったアルバム。 . . . Read more

(番外)福永武彦とシベリウス

2008-01-09 00:29:06 | 音楽
 福永武彦に「シベリウスの新盤」と題した文章がある。昭和44年、『死の島』執筆中のもので、バーンスタインかマゼールのシベリウス全集のレコード評を依頼されたのは断ったものの、代わりにと依頼されたのがカール・フォン・ギャラグリー(ガラグリ)によるシベリウスの交響曲第1番と第7番のレコード評で、全集では14巻に収められている。 . . . Read more

マーラー版によるシューマン

2008-01-06 21:39:55 | 音楽
 リッカルド・シャイー指揮ゲヴァントハウス管弦楽団の、マーラー版のスコアによるシューマン交響曲全集。この版による演奏にはずっと興味を持ち続けていたのだけれど、BISのチェッカート指揮ベルゲン・フィル盤が通販のセールで出ていたおり、抽籤に漏れて買い逃して以来、そのままになっていたのだった。こうしてすぐれた指揮者と名門オーケストラ(交響曲第4番の初演はこのオーケストラだという)の演奏が、それも2000円を切る廉価で手に入るというのは何ともありがたい。主に第3番と第4番からいろいろと聴き比べながら愉しむ。 . . . Read more

ジャン・ギアン・ケラスのバッハ

2007-11-24 22:58:04 | 音楽
 ケラスにはもともとアンサンブル・アンテルコンタンポラン出身の俊英というイメージがあって、だからその連想からWergoから出ているユリウス・ベルガーやECMから出ているトマス・デメンガなどの盤とつい較べてしまうのだけれど、彼らの変幻自在で、ときにアグレッシブな演奏と較べると、確かに自在な演奏なのだが、はじめに書いた音質とも関係するのだろう、ここに聴くことのできる演奏自体はことさらにアクセントを強調しない、圭角のとれた柔軟なものとなっている。だからといって弾き崩しているという印象もない。対位法的な構成も手に取るように聴き取れる。 . . . Read more

ピアノと木管アンサンブルによるカプレとラヴェル

2007-10-14 19:57:11 | 音楽
 1曲目はカプレの初期の作品。カプレはドビュッシーとも関わりの深いフランスの作曲家で、ドビュッシー作品の編曲のほか、指揮者として初演したこともある人だが、その作風はドビュッシーをはじめとするフランス近代音楽の影響が色濃いが、どこかミスティックなものへの志向が独自の個性となっているように感じる。  ピアノと木管のための五重奏曲はフルート、オーボエ、クラリネット、バソンにピアノが加わる。このディスクではじめて聴く曲だが、若い頃の作品のようで、循環形式的な要素も聴かれる。洒脱でありながら、各楽器の色彩感と明晰さが印象深い。ここでは各楽器を克明に捉えた録音によって息の合った演奏の愉しさが存分に伝わってくるし、この愛らしい曲の、最初に聴いた演奏が、それぞれの持つ確かなテクニックを美しい合奏として提示することに向けられたこのモラゲス木管五重奏団による演奏であってよかったと感じる。 . . . Read more

ブラームスの第5交響曲?

2007-09-11 22:46:21 | 音楽
 シェーンベルクやヴェーベルンによる編曲ものを集めた一枚。指揮者のギーレンはそれらをあくまでもシェーンベルクやヴェーベルンの作品として再現しようとしていたようだ。ただし、あとの2曲については多少鋭利さが後退しているようにも感じるが。 . . . Read more

ギル・シャハムのプロコフィエフ

2007-09-01 14:06:04 | 音楽
 もともとVANGUARD (ARTEMIS )レーベルからリリースされたものを、ヴァイオリニスト自身の個人レーベルから出しなおしたものだとのこと。プロコフィエフの二つのソナタについては、これまではクレーメルとアルゲリッチの盤を専らに聴いてきたのだけれど、それとはまた違った、シャハムの透明感があって抑制が効いているのだけれど、伸びやかな艶のある美しい音色で聴くプロコフィエフもまたすばらしいものだった。 . . . Read more

夏の水力発電所の室内楽

2007-08-30 23:17:39 | 音楽
ドイツ西部のハイムバッハで毎夏行われているシュパヌンゲン音楽祭での演奏を集めたもの。この音楽祭の会場は1904年に建てられたユーゲント様式の水力発電所だそうで、主催者はピアニストのラルス・フォークト。ボーナス・ディスクを加えて全14枚のセットにはハイドンから現代曲まで様々な曲が収められているが、室内楽をメインとした音楽祭のようだ。  演奏者はフォークトをはじめ、ヴァイオリンのクリスチャン・テツラフ、イザベル・ファン・クーレン、イザベル・ファウスト、ユリア・フィッシャー、ヴィオラにはキム・カシュカシャン、チェロのハインリッヒ・シフやボリス・ペルガメンシコフ、管楽器ではマイケル・コリンズ(クラリネット)やマリー・ルイーゼ・ノイネッカー(ホルン)らの名前がある。しかもストラヴィンスキーの『兵士の物語』(抜粋だが)やシェーンベルクの室内交響曲ではダニエル・ハーディングも参加している。 . . . Read more

テンシュテットのヴァーグナー

2007-06-03 22:52:26 | 音楽
 先日、聴いたカラヤンの指揮による演奏とはオーケストラの音色はまったく別のオーケストラかと思ってしまうほど異なる。もちろん金管楽器は力強く、弦楽器群も繊細な美しさを感じさせる。ただし、それはカラヤンが振ったときのものよりもずっと鄙びた味わいがあって、それがもっとも顕著なのは木管楽器の響きだろうか。鄙びたという言葉に語弊があるなら質朴と言いなおしてもいいだろう。またあるいは神聖なものの表象ではなく、それに信仰を捧げる人間の内面の表象としての演奏といえばよいのだろうか。 . . . Read more