Mey yeux sont pleins de nuits...

読書、映像・音楽の鑑賞の記録など

リドリー・スコット『ブレードランナー ファイナル・カット』

2008-09-27 23:53:16 | 映画
 映画『ブレードランナー』は、自分がどこからやって来たのか、そしていつまで生きていられるのかという問いの答えを求めて、「創造主」に会いにいくレプリカントたちを描いているが、同時に記憶とイメージとアイデンティティの連関をめぐる問いを誘発せずにはおかない映画でもある。ただし、監督リドリー・スコットの野心は案外視覚効果面での完成度をいかに高めるかにあったと思われ、この映画の主題ももともとは『デュエリスト』や『エイリアン』に連なる、立場が反転する追う者と追われる者という構図として捉えていたのではないかと感じる。最初に挙げた問いは、むしろ、のちにクリス・マルケルの『ラ・ジュテ』のリメイクに関わることになるデイヴィッド・ウェッブ・ピープルズの主題だったのではなかろうか。 . . . Read more

オーディオとAVシステムのためのノート

2008-09-24 00:47:41 | その他
 音楽を聴くという体験に関して、作曲家の近藤譲は、生演奏と録音された音楽の相違点は音質の違いという問題に還元しつくせるものではないといっている。より本質的な違いは、演奏者と聴き手が同じ空間を共有しているか否か、にあり、それは音楽が持つ一回性に起因するという。生演奏において、一度発せられた音は修正不可能であり、発せられるとすぐに消え去る。ある時ある場所で演奏された音楽は、本来はその場限りの一回的なものだ。 . . . Read more