Mey yeux sont pleins de nuits...

読書、映像・音楽の鑑賞の記録など

ジャン・ギアン・ケラスのバッハ

2007-11-24 22:58:04 | 音楽
 ケラスにはもともとアンサンブル・アンテルコンタンポラン出身の俊英というイメージがあって、だからその連想からWergoから出ているユリウス・ベルガーやECMから出ているトマス・デメンガなどの盤とつい較べてしまうのだけれど、彼らの変幻自在で、ときにアグレッシブな演奏と較べると、確かに自在な演奏なのだが、はじめに書いた音質とも関係するのだろう、ここに聴くことのできる演奏自体はことさらにアクセントを強調しない、圭角のとれた柔軟なものとなっている。だからといって弾き崩しているという印象もない。対位法的な構成も手に取るように聴き取れる。 . . . Read more

山内昌之『歴史の想像力』

2007-11-09 00:49:02 | 読書
 全体は5つのパートに分かれていて、前半の大佛次郎や辻邦生らの歴史小説を論じた「歴史・文学論」、歴史上の人物や歴史学の先達を論じた「人物論」と、後半のグローバリゼーションが進行するなかでのイスラム圏情勢を中心に論じた「民族関係論」と現代史の方法論を論じた「現代史論」に挟まれて、著者の歴史叙述に関する基本的なスタンスを述べた「史論」が置かれている。試みにそこから引用する。 もともと、歴史を意味する「ヒストリー」(history)とは、物語を指す「ストーリー」(story)にほかなりませんでした。よく歴史と文学の性格が比較されることもあります。たしかに、歴史と文学には大きな共通点があるかもしれません。この二つは、自然への愛や人間の可能性に対する信頼に加えて、〈叙述〉という表現手法を重視する点でも似ているからです。英語のヒストリー(history)の語源であるギリシア語のヒストリアには、「歴史叙述」の意味もあるといわれます。この意味で、ヒストリー(歴史)は、ストーリー(物語)に通じる、といってもあながち間違いとはいえないでしょう。(「ストーリーとしてのヒストリー」) . . . Read more