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それにしても、空港とは確かに待つための空間だった。さまざまな手続きを待つ。離陸を待つ。誰かが帰ってくるのを待つ。それとともに奇妙な空間でもある。空港という場所での経験について、多木浩二は「孤独の極みとも、自由とも、完全に拘束された状態ともいえる」と述べているが、この映画の主人公もこのすべてを経験する。さらにまた多木浩二によれば、空港は常に、完全に国家に属しているわけではないが、「どこにも属していないように見えて、その実こうした自由を無化する空間」、つまり監視する権力の管理下に置かれている空間であると述べている。そして、この映画もそのような空間を舞台としている。
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Googleブック検索(Google Book Search)は、無料ダウンロードを可能とする著作権切れの膨大な著作物のデータベース化を進めているが、それと並行してそれと同じ規模で著作権が存続中で、しかも書店で購入可能な書籍もデータベース化を進めており、さらにそれらの総数を上回る数の著作権が保護されているものの入手不可能な著作物も同時にデータベース化しようとしているという。昨今の書店や公立図書館の現状を見るにつけ、やはり多少の期待をせざるを得ない。ただし、不安もある。ことは学術・教育に関わる公的な問題でもあるのに、専ら商業に関する言葉で語られている。また消費者は、そのような議論の常として蚊帳の外に置かれる。そんな話を知人としていたら、『猫の大虐殺』という民衆史・思想史の名著が印象深い歴史学者ロバート・ダーントンがGoogleブック検索について書いた文章があると教えてもらった。
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