二人の女と二人の男が美しい渓谷の田園地帯の中で入り組んだ人間関係を形成する。美しく、その人柄を誰もが称讃するカミーラは家政婦の息子ジョゼと相思相愛の仲だが、ギャンブルに狂う父親のせいで家は傾いており、ただ金のために愛してもいない資産家の息子アントニオと結婚する。カミーラとジョゼとアントニオは幼馴染でもあり、ジョゼのいかがわしいビジネスのパートナーであるヴァネッサはアントニオの結婚前からの愛人で、カミーラとの結婚後も公然と関係が続いている。
この四人にジョゼの母親のセルサとポルトに住む有力者らしきロペール兄弟、そしてカミーラの家族などが絡み、それぞれの人物の組み合わせによって局面が変化しながらストーリーが展開し、最後の最後に意外な結末を迎える。とりわけ「二重人格者」ジャンヌ・ダルクをひそかに信仰するカミーラと聖母マリアに敬虔な祈りを捧げるセルサの関係が、対照的でありながら互いが互いの分身のようで興味深い。セルサはカミーラの援助者の一人であり、カミーラはセルサの秘密をただ一人知る人間となる。そして怜悧な指し手のように確実にチェック・メイトに向けて周到に周囲の人物たちを駒として配していく主人公の一手一手。
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