Mey yeux sont pleins de nuits...

読書、映像・音楽の鑑賞の記録など

『蝶々夫人』(アレーナ・ディ・ヴェローナ、2004) あるいは 帝国主義的ノスタルジー

2009-10-28 23:57:04 | オペラ
 デアゴスティーニの『DVDオペラ・コレクション』の第4弾は 帝政ローマ時代の闘技場の巨大な空間にしつらえられた大掛かりなセットが何よりも目を引くアレーナ・ディ・ヴェローナでの、フランコ・ゼッフィレッリ演出の『蝶々夫人』だった。不安材料はゼッフィレッリの「本物」志向だが、台本を大きく逸脱しないことを旨とするゼッフィレッリ演出が、たとえ無自覚であるにせよ(いや、むしろ無自覚であるがゆえに)、このオペラが内包する問題を浮き彫りにすると考えられるし、衣装デザインに、黒澤明の『乱』や大島渚の『御法度』の様式化された衣装や、チャン・イーモウやピーター・グリーナウェイ(とくに『枕草子』)との共同作業で「西洋から見た東洋/日本のイメージ」そのものを形象化してみせたワダ・エミを起用したことから、リアリズムより、様式美の追求に向かっているのではと期待される。それで購入した。 . . . Read more