ちゅう年マンデーフライデー

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雨の日に並んで「風神雷神図屏風」を観にいく

2006年10月02日 | 絵画
 国宝『「風神雷神図屏風」宗達・光琳・抱一琳派芸術の継承と創造』展を最終日夕方にいそいそ観に行った。やたら長いタイトルだが、宗達・光琳・抱一の「風神雷神図屏風」が一堂に展示されるという、今後しばらくはないだろう展示とあって日曜日は雨にもかかわらず出光美術館は長蛇の列、入場制限されるほどだった。この3作品の同時展示は東京では昭和4年以来、宗達の屏風は京都建仁寺所蔵だから関東ではなかなかお目にかかれないだけに、まあ出光美術館も驚きの人出ではなかったろうか。

 それでも中に入れば、宗達の国宝以外は比較的人垣は少ない。この3点以外は出光美術館所蔵の抱一の「紅白梅図屏風」や「燕子花図屏風」、伝尾形光琳「紅白梅図屏風」などが揃い琳派好きにはうれしい展示ではあったが、それらは本来なら、例えば光琳ならMOA美術館所蔵の「紅白梅図屏風」、抱一なら「秋草図屏風」があって、タイトルにあるような「琳派の継承と創造」が完結されるはずなのだ。だが今回は、この屏風3点揃い踏みでよしとしておこう。

 なんといっても白眉は宗達だ。光琳は宗達を、抱一は光琳を模写したといわれ、抱一は宗達の屏風の存在は知らなかったという。宗達オリジナルの迫力が勝るのは、描写力もさることながら、その画面の切り取り方、空間の処理の仕方だろう。安土桃山の豪気とひょうげものというような前衛的な造形力を残した宗達の屏風、その宗達への光琳なりの本当の回答はあの国宝「紅白梅図屏風」によってだったのだと思うとこの展示会におけるその不在がなんとも惜しまれるのだった。 

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