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「大琳派展」愁人濡らす秋雨かな

2008年11月10日 | 絵画
 上野の国立博物館平成館で開催の「大琳派展」を観にいく。午前中は秋雨が降るお出かけ向きではない天気だったが、開期の終わりも近づいていたので、今年初めてコートなど着ていそいそと出かけたのだった。琳派ってこんなに人気があったんだと思うくらいのけっこうな人の入り。「風神雷神図屏風」の宗達、光琳、抱一の3点展示は2年前の出光美術館以来。さらに鈴木其一のも加わり4作揃い踏みと豪華である。

 何よりも、現地で観たいと思っていた京都・養源院の宗達「杉戸図」4枚を初めて観ることができたことは僥倖だった。あの白象の、なんとアヴァンギャルドなフォルムよ。今回見直したのは、其一の色彩と空間だろうか。とどまることのない水の流れをいかに表現するかは、琳派の特徴の一つだが、デザイン化されながらももっとも水のきらめきを表しているのが其一だと感じた。宗達の繊細な中にも豪胆さをもつ作風に比べ、光琳、抱一、其一と進むほど、絵は洗練と緻密さを増すように見えるが、とりわけ其一の俳諧とのかかわりからか、俳句を読むように自然を切り取り、絶妙な空間や間を演出していることに、面白みを感じた。これだけの展示なのだから、光琳の国宝「紅白梅図屏風」の不在が惜しまれる。MOA美術館は門外不出にしているのだろうか。

 さて、上野の帰りといえば、当然ながら「宝丹」である。「琳派」も「宝丹」も秋が似合う、かな。

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