ブログ、巨人軍。

頑張れ、ジャイアンツ!
頑張れ、日本のプロ野球!

たくさんの強さを携えて、東北楽天日本一。

2013-11-04 23:22:55 | 2013年シーズン
いやしかし、なんともいえない日本シリーズだった。
第七戦までもつれてくれた事への感謝の思いは言うまでもないけれど、
こんなにも勝敗以外の何かに気持ちを揺さぶられた日本シリーズははじめてだった。
終わってみれば、たくさんの "強さ" を携えた東北楽天の日本シリーズ制覇だった。

田中の力投もさることながら、則本のフル回転も強く印象に残った。
第1戦では内海以上に好投していた則本だったが、5回に1点を先制され、さらに8回、村田に本塁打を浴び点差を2点に広げられてしまう。後続を絶ち、ベンチに戻った則本はグラブを叩きつけ悔しさをあらわにした。日本シリーズ初戦に先発登板した1年目のルーキーが見せたこの気迫。黒星スタートとなったが、この則本の気迫の敗戦からシリーズは始まった。この則本の気迫は、星野監督の気迫、田中将大の気迫、東北楽天チーム全体の気迫に見えた。敗れても、その強い気持ちをシリーズのしょっぱなからしっかりとジャイアンツナインに見せつけることができた。

延長戦にもつれた第5戦は3回に楽天が2点を先制した。ジャイアンツは5回まで辛島に1安打無失点。星野監督は好投の辛島に代えて6回から則本をマウンドに送った。6回には2三振を奪った則本だったが、7回、第1戦に続きまたしても村田に本塁打を浴びて1点差に迫られる。8回を三者連続三振で締めた則本は9回もマウンドへ上がる。後のないジャイアンツは先頭の代打・高橋由伸がツーベースで出塁すると一死一、三塁のチャンスをつくり、迎えるバッターは村田。しかし村田はピッチャーゴロ。ダブルプレイで試合終了かと思った瞬間、則本がこれを捕球できず内野安打で同点、試合は延長戦へ。
4イニングを投げた則本はここで交代かと思われたが延長10回表の先頭打者でそのまま打席に立った。そして打席の則本にまったくストライクが入らない西村は則本を四球で歩かせ、それを足がかりに死球、連打で楽天は2点を奪い、10回裏もそのまま則本がマウンドに上がり三人でピシャリと締めた。

10回表、楽天が勝ち越ちた場面にもこのシリーズを象徴するようなシーンがあった。二塁から全力で本塁をついた則本の気迫の走塁同様、西村から左ふくらはぎに死球を受けた藤田も足を引きずりながら力走し三進、そのあと星野監督から交代を告げられ悔し涙を流しながらベンチに引き上げた。死球を浴びた時点で誰もが出場続行をあきらめた。どう見てもそれくらいのダメージだった。それでも藤田は一塁に向かい銀次のタイムリーで足をかばいながら一気に三塁まで走った。そんな藤田の姿がチーム全体の結束をさらに深めたことは想像に難い。

第7戦は、前日第6戦の田中の敗戦を受けて臨む楽天に対し、田中を捕らえ、打線にようやく勢いが出るかと予想されたジャイアンツだったが、結局、美馬、則本、田中を打ち崩すことは出来なかった。たしかに、田中を打ったとはいえマウンドから引き摺り下ろしたわけではない。勝利したジャイアンツ以上に、9回まで投げきり、最後のバッターのヨシノブを150キロを越えるストレートで空振り三振に仕留めたあの田中の気迫の投球のほうが、結果的にその後の勝負の行く末に強い影響を及ぼすことになった。敗れてなお、たくましさを増す。現に田中で敗れた緊迫感どころか、これまで頼り切ってきた田中がヤラれたのだから次は俺たちの力で借りを返そうと思ったと何人かの選手が優勝後のインタビューでそう答えている。これぞエースの仕事、そういうことだったのだろう。

ここまで勝ち進んできた星野・楽天のカタチを考えれば、田中が最終戦もベンチに入ることは想像できたし、それがどういうことを意味するかも予測のたつことではあったが、さすがに前日160球完投である。勝利後、1点差ならいかなかったと星野監督が言っていたように、3点差がついていたことも決断の大きな要因であろう。しかし、実際に2本のヒットを浴び、一打同点の場面まで追い込まれた。あの場面は田中将大以上に星野監督のほうが追い込まれていただろうか。結果がどう出ようと田中を出した以上、もうあとはない。それは誰もがわかっていることだ。ベンチとナインとスタンドと、あの場面に立ち会ったすべての者が腹をくくった瞬間だった。

「普通では考えられない継投」 と星野監督は振り返った。
言われているとおり、あれは田中将大投手の気概と星野監督の決断がもたらしたシリーズ最大の見せ場だったことに間違いはないのだろうが、ただ、それにも増して、やはりあの場面には、星野監督ならではの勝負に対する信念、勝利に対する執念を垣間見た、男・星野の大勝負を感じずにはいられないアツいシーンだった。
「昔かたぎの星野監督ならではの采配だった」 そう評した野村さんの言葉が印象深い。

シリーズを通し、東北楽天の ”たくさんの強さ" が試合のいたるところで力を発揮した。
チームと地域の強い思いが一体となって、最後まで、そんな”強い思い" がシリーズの流れを支配していた。



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