1874年、パリの第1回印象派展から140年を迎えるにあたり、
オルセー美術館から選りすぐりの名画が国立新美術館にやってきた。
マネ「笛を吹く少年」・モネ「草上の昼食」などが展覧会のパンフや駅の広告で話題であるが、
それぞれの好き嫌いは別として、どれもじっくりと観るべき作品ばかりで
印象派の誕生やレアリスム・アカデミズム等美術史上の19世紀後半の名画を堪能できる美術展だ。
1章 マネ
2章 レアリスムの諸相
3章 歴史画
4章 裸体
5章 印象派の風景 田園/水辺にて
6章 静物
7章 肖像
8章 近代生活
9章 円熟期のマネ
展示リストを片手に印象に残る作品をチェックしていったが、
良く判らない3章の歴史画以外はほとんど各章3分の2は興味を覚える作品ばかりだった。
やはり教科書などで子どもの頃から知っている作品も実物を前にすると紙面で観ていた時とは印象がちがった。
今までなんとなく暗っぽいイメージで好きではなかったミレー「晩鐘」は
夕暮れの茜雲が効いていて穏やかであるが「希望」を感じさせた。
フレデリック・バジールという作家は知らなかったが、
「バジールのアトリエ・ラ・コンダミンヌ通り」が面白く当時の画家たちの交友が偲ばれた。
「笛を吹く少年」からは軽快な音色が聞こえてくるようで
「ピアノを弾くマネ婦人」も好きだ。
モロー「イアソン」・ルノアール「ラ・ローズ」
風景画のピサロやシスレーもどれもが美しい。
モネ「かささぎ」セザンヌ「マンシーの橋」
静物画はラトゥール「花瓶のキク」セザンヌ「スープ入れのある静物」
肖像画はルノアールも好きだがやはりホイッスラーやラトゥールに惹かれた。
モネ「死の床のカミーユ」・「草上の昼食」の実物を観られて満足。
2010年、三菱一号館美術館で開催した「マネとモダン・パリ」でも感じたが
やはり私は印象派の中ではマネが一番好きだ。
その時にポスターにもなっていた「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」の
そのモデルのベルト・モリゾの「ゆりかご」もいい!
晩年のマネ「ロシュフォールの逃亡」のタッチに感動を覚えた。
今回の展示リストが画家たちの相関図なども乗っていてとても参考になる。
図録も持ちかえるのに重くない可愛らしいミニ図録があったのが嬉しい。