さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

千作千之丞の会

2010年02月25日 | 劇♪場♪
第5回になる千作千之丞の会を拝見した。

「福の神」
「二人袴」
素狂言「武悪」

お供物を請求しちゃうメチャ明るい神さまが出てくる「福の神」
世間知らずのたよりない婿が兄と一緒に舅の家に訪ねて行く「二人袴」

それぞれ大変楽しく拝見したあと、
本日のお目当てである素狂言「武悪」が演じられた。
古典の名作といわれる1時間あまりかかる狂言の大曲だ。

主人 茂山千作さん
太郎冠者 山本東次郎さん
武悪 茂山千之丞さん

大蔵流東西最高峰の揃いぶみ♪

素狂言とは、衣装も着けず、動作もない、
黒紋付に袴姿のお三人が舞台に座ったまま科白のみで演じるもの。

浄瑠璃や謡曲とちがって狂言には情景や状態を説明するものがなく
登場人物の会話のみであるので、動作がなければ
状況を把握するのはなかなか難しいはずなのであるが、
お三人それぞれが座ったままでも会話するだけで、
能舞台が主人の家にみえたり、さびしい鳥辺野に見えてきたり。

登場人物の心理状況を「声」のみで演じわけるのであるから
集中力とかなり体力も必要とされるだろうが、
お歳を感じさせない三人三様凄い気迫で、これがまさに「至芸」というものであろう。