さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

花にさすらふ -3-

2010年04月15日 | 都へ上る
夢の浮橋跡

「源氏物語」の五十四帖のことではない。
古にそこに橋が掛っていたとは思えないほど
現在は周囲の環境もすっかり変わってしまっているので、
泉涌寺道は過去にも何度も通ったはずだが、
いままでこの石碑のことは全く気がつくことがなかったのはなぜだろう。

「ことはりや 夢の浮橋心して 還らぬ御幸 志ばし止めむ」

四条天皇をはじめとして、歴代天皇や皇后を祀る泉涌寺へ行く道に
かかっていた大路橋のことで、往時は沢山の葬列がこの橋を渡っていったようだ。
そのため、あの世に通ずる橋ということで壊れてしまっても改修されず
「落橋」ともよばれたそうだ。
大きな木の下に泉涌寺の僧・道円の詠んだ歌が刻まれた石碑があるが、
前に無造作にバイクが駐車してあったのがなんとなく悲しかった。