ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナノテク関連会社情報: 蓄電池から剃刀まで

2012-10-08 | 報道/ニュース

ニュースで紹介している新しい研究成果はブレークスルーとなり得るもので興味深いが、商業ベースへの実現には年月を要すであろうしまた実現不能なものもあり得る。それに比べると会社関連情報ははなはだ現実的な情報である。

1996年にカナダに設立されたElectrovaya社は、次世代リチウムイオン蓄電池(11/1,25,6/17参照)の製造を開始したと発表した。新しい電池の1キログラム当たり蓄積される電気量は200Wh(ワット×時間)で、すでに製作されているリチウムイオン蓄電池では最高クラスであるという。この値は、現代自動車に用いられている蓄電量の約5倍程度である。
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ベルギーのImec社とSolvay社は、有機半導体(HP2.1D7および3.7A2参照)を用いた有機太陽光発電モジュール(2/20参照)の発電効率5.5%を達成したと報じている。この発電効率は現在のところ世界一であるという。有機太陽光発電モジュールは低価格で薄くまた軽くしかも製作が容易であるため、携帯用電子機器などに用いられようとしている。
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アメリカのNano-Sharp社は、非常に切れ味の鋭い刃物を製作しようとしている。現在用いられているセラミック刃物は、シリコンなどの薄板をシャープにとがらせて製作している。同社の製品の製法の詳細は不明であるが、シリコンの平板をエッチして平板に垂直なシリコン薄板を作り出す際に形成されるようである。刃の先端の厚さはシリコン原子の大きさ程度であるという。今のところ非常に高価(1枚600ドル)で、医療用刃物などに用いられているという。

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Nano-Sharp社の設立過程が興味深い。カリフォルニア大学デービスにあるEngineering Translational Technology Centerは、いわば工学を技術に転換するセンターで、プライベートな資金援助が期待出来るようなベンチャー企業を育てようとしている。Nano-Sharp社は、このセンターで立ち上げられた三つの企業のうちの一つで、カリフォルニア大学の教授が創設者の一人であるという。