ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

金属ナノ粒子は形によって色が変わる:プラズモン

2011-11-17 | 日記

11月13日の記事で、金属ナノ粒子が、形を変えると異なった波長の光を吸収すると述べた。この現象は、ナノテクノロジーで重要な役割を果たしているので、少し詳しく述べよう。

そのためには、まずプラズマについて説明する必要がある。プラズマとは、正の電荷と負の電荷が同数存在する系で、少なくとも一方が自由に動けることが必要である。太陽は巨大なプラズマである。核融合(9/5参照)を起こすためには、水素プラズマが必要で、容器に閉じ込めた水素分子を解離し、生じた水素原子をほぼ完全に電離しなければならない。

固体もプラズマとみなすことが出来る。いちばん外側の電子は他の電子に比べてゆるく結合されているからである。たとえば、金(Au)は、Au+と電子からなるプラズマと見なすことが出来る。Au+は重たくてあまり動かないが、電子は軽くて動きやすい。

プラズマには、プラズマ振動が発生する。これは、正の電荷と負の電荷の位置が集団的にずれて、正負電荷間の引力に引かれて振動する現象である。固体の中でプラズマ振動が発生すると、その振動は波になって伝わっていく。このような波をプラズモンと呼ぶ。

プラズモンの振動数は、正の電荷と負の電荷との間の力が大きいほど高いことは想像できよう。大きな固体の中でのプラズマの振動数は、それぞれの固体で決まった値を持っている。しかしながら、ナノ粒子になると事情が異なってくる。振動の結果電子がナノ粒子の外まではみ出すと、電子と正電荷との間の引力が弱まり振動数が低下する。ナノ粒子の形によって振動数が異なることが理解できよう。

ナノ粒子に光を照射すると、光の振動数(光速/波長)がプラズモンの振動数と一致すると、共鳴を起こして光が吸収される。参考までに、ナノ粒子が吸収する光の波長を示しておく。