ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

環境にやさしいプラスチックス

2011-11-16 | 日記


ヨーロッパに、バナナの茎など有機廃棄物から環境にやさしいプラスチックスを合成しようとするプロジェクトが進行中である。このプロジェクトはECLIPSEと呼ばれ、大学や企業が参加している。その中心的な役割を果たしていくのが、スペインのCidetecIK4社のテクノロジーセンターである。

現在用いられているプラスチックスは、環境にやさしくない石油から作られている。石油資源は無限に存在しない。このため、サトウキビやトウモロコシを用いてポリ乳酸(PLA)が生産され、プラスチックスに代わっての使用が試みられている。しかしながら、この製法では食品価格の高騰をもたらすため、あまり歓迎されていない。

ECLIPSEの計画は、バナナの茎、ナッツの殻、エビなど甲殻類動物の殻からプラスチックスを合成しようとするものである。この手法が成功すると、石油資源の消費を抑えることが出来、また食品価格を高騰させる恐れもない。

現在試みられているのは、有機燃料を生成する際に生じた糖質廃棄物からまず乳酸を生成する。これまで乳酸分子を重合してポリ乳酸にするのはあまり容易ではないとされている。重合の際、水が生成しこれがPLAの性質に悪影響を及ぼすからである。ところが、有機廃棄物にナノファイバーを混合することによって良質のPLAが生成することが明らかにされている。

このプロジェクトの完成は環境浄化に貢献するだけではなく経済効果をもたらすものと期待されている。