わたしが今まで訪れた国の中で、どうしても忘れられない地、チベット
かつて多くの人々が傷つき、殺され、残った者は命を懸けて山を越え、インドに亡命した
その子どもたちを描いた絵本「夢にでてあげたい」を読んで、チベットで経験したいろいろなことを一気に思い出した
現在もまだ、多くの人々が、僧侶が、抗議し、捕まり、拷問を受け、無言の焼身自殺を繰り返している…
「殺さず殺させず」の仏の教えを守り、自分を傷つけるものたちでさえも、憎むことを良しとしないやさしく切ない民を、
なぜ世界はいまだに放ったままなのか
あるチベット人は、日本人はあたたくて、やさしいと、言ってくれた
あるチベット人は、ポタラ宮の前で泣くわたしの頭を、微笑みながら撫でてくれた
あるチベット人は、危険を承知で、見知らぬわたしに、胸に隠したペンダントの中身をこっそり見せてくれた
想像に絶する悲しみや憎しみ、苦しみを越えて、それでも他人を思いやるチベット民族を、わたしはずっと忘れない