古本屋をふらふら、掘り出し物を探すのがわたしのささやかな楽しみの時間
繰り返す発掘の中で、どうしても時代に忘れてほしくないと思った素晴らしき女性たち…
画家であり絵本作家である、いせひでこさんのエッセイ
ゴッホや宮沢賢治、星野道夫…あの、わたしたちの魂に沿って歩くような風景が、
ひでこさんの言葉から溢れ出て、読んでいるこの時間が悲しいほどに大事だと思う
きらきらひかる絵の具、目の奥に映る思い出のような人たちのデッサン
絵本は、振り仮名もなく、子どもひとりでは読むことはできない
まずはこの一冊の絵本から、ぜひ
生命科学者であり国際的な研究者でもあった、柳澤桂子さん
30年を超す難病のために、痛み苦しみぬいて、それでも家族や仕事を手の中に生き切った
この本には桂子さんの写真がいっぱい載っている 美しい涼やかなお顔…
逃げることのできない苦痛を忍ぶことで、たどり着いた、深い心の海を示してくれる
次の2冊は、神保町の古本屋街でみつけた本
古書コレクターでもないので敬遠していた神保町ですが、行ってみると、やはり本の森
田舎の本屋さんではお目にかかれない垂涎本が所狭しと…いくつか発掘することができました^^
頬をはたかれるような詩のことば、内臓を剥き出しにされたかのような痛みと慟哭
茨木のり子さんを知るまでは、詩にこんな力があることを、想像していなかった
この本は詩集ではなく、のり子さんの家、生活道具、そういった暮らしのものたちが写っている
これらは時に雄弁に、絵や文章といったものよりも、その人となりを暴き出す
わたしの知らなかった詩人の、人間の部分が、あたたかく広がった
銅版画家の山本容子さんを特集した雑誌「Switch」1994年3月号
10代の頃、手にとった吉本ばななの「TUGUMI」の装丁、あれが容子さんの作品だと気付いたのは、ずっと後
美しき、孤高の芸術家、男物の白いシャツ、その足元には犬、海辺を歩く…
そんなイメージだった容子さん、やはり、かっこいい! 女の、生き物のエネルギーが満ち満ちて
なんとセミヌード写真から、ロングインタビューまで、これは生涯手放すまいぞ
本屋を巡るたびに、取りこぼしていた輝くものたちが指の隙間にひっかかる
素晴らしき人たちの、素晴らしき生きる様が、どうして忘れられようかと思う
むかしも、今も、これからも、永劫に読まれ、鑑賞され続けてほしい