goo blog サービス終了のお知らせ 

商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

歴史上の人物が商標の審査基準を変えた

2015-04-15 15:50:45 | 日記

少し前から歴史がブームになりました。それに目をつけたのか、貸金業者が歴史上の人物の名前を商標として登録して問題になったことがあります。たとえば、「吉田松陰」や「高杉晋作」、「木戸孝允」といった幕末の有名人たちの名前です。名字などは商標登録できませんが、氏名であれば登録が認められます。ところが、これに山口県の萩市が異議を申し立てました。これをきっかけに、特許庁が審査基準を改訂し現在では、歴史上の人物の名前が商標申請されたときには、遺族や地域住民の意向、公共の利益を損なわないなどいくつかの条件を勘案して総合的に判断することになりました。歴史上の人物を巡る諸事情に周知・著名な歴史上の人物名は、その人物の名声により強い顧客吸引力を有していることがあげられます。因みに、その人物の郷土やゆかりの地においては、住民に郷土の偉人として敬愛の情をもって親しまれ、その業績を称え記念館が運営されたりして、地元のシンボルとして地域興しや観光振興のために人物名が商標として使用されるような実情があります。一方、全く関係を有しない第三者が商標登録をすることについては、郷土やゆかりの地における地域興しなどの地域産業に悪影響を及ぼしかねないとの懸念が上げられ、更に、遺族の感情としても、名声や名誉を傷つけるとの不快の念を抱くとの懸念が指摘されました。こうして歴史上の人物の定義を考えると、商標も結構奥深いものがあります。あなたの故郷の人物は商標登録できますか?