「黒森神社伯父杉」(旧山口村/現宮古市)
ここは屋久島、いや明治の宮古です
この巨大な杉は、屋久杉ではありません。前回紹介した黒森神社がある黒森山の中腹に聳え立っていた杉の巨木です。その名を「伯父杉」といいます(他では祖父杉との表記もあるが、写真帖記載のまま)。
黒森神社及び黒森山には、現在でも杉や樅(モミ)・萱(カヤ)の針葉樹の巨木が多数あります。境内に林立する杉の樹齢は1000年位、樅や萱の樹齢は1300年位と云われています。いずれも5m以上の幹回りで高さは20~30mはあり、その存在感に威圧されます。
20人余りの子供が手を繋いで1回り
それらを遥かに凌ぐ超巨古木がこの写真の「伯父杉」でした。幹回りは、写真のとおり子供達20人余りが手を繋いで取り囲む大きさだったそうです(私が母方の祖父から実際に聞いた話)。
その樹齢は3千年以上を超すものとも云われています(平成2年にもう一つの超巨木である「祖母杉」の調査が行われ、樹木医山野忠彦氏の鑑定では3千年以上とされ、伯父杉は祖母杉の倍以上の巨木であったので類推しました)。樹高はどれだけあったのかわかりません。
大正2年の落雷で焼失
しかしこの超巨古木は、大変残念なことにこの写真撮影から間もない大正2年に、落雷による火事で焼けてしまい、現在は見る影もない無残な焼けぼっくいとなっています。もし現存すれば、国の天然記念物に指定されていたことは間違いないでしょう。
さてこのブログの初期(VOL5/宮古測候所の項)に、「もし今でも宮古に残っていたらと思う7つの風景」と題して、私が勝手に選んだ今は無くなってしまった建物や風景のことを紹介しました。今回の「伯父杉」は勿論入ります。これまで計5つ(①宮古測候所 ②由ケ尻の洞門 ③宮古郡役所 ④下閉伊郡物産館公会堂)、残る2つも間もなくご紹介します。