「小川乳油製造所」(下閉伊郡小川村/現岩泉町小川)
乳油とは、牛乳の脂肪分を固めた食べ物即ちバターやチーズ類のことです。現在の岩泉町は、先の葛巻町同様に酪農が盛んな町ですが、その原点は明治初頭まで遡ります。明治4年(1929)に岩泉の八重樫市右衛門氏に日本に輸入されたばかりの牛(ショートホーン種)が貸与され、在来種の南部牛と交配したことが記録されています。また前述(VOL91)のとおり明治25年(1950)にはホルスタイン種の飼育が始まっています。
写真の「小川乳油製造所」は現在その社名は残っておらず、どのような変遷があったのかは分かりませんが、明治末期には搾乳だけでなく、既にバターなどの乳製品の製造が始まっていたとは、改めて岩泉の酪農の歴史の古さを知りました。